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第六十一話

 部長は、
「とにかくやつの巨大化はまだ進んでいるようだ。ほって置いたら薬の効く
 可能性はますます低くなる。」
「もうそろそろいいかな。」
 飯田が言う。そのとき、3人の足元が大きく動き始めた。石本はバランスを
崩しかける。
「わあっ!」
 部長が、
「やつが寝返りを打つぞ。逃げろ!」
 3人はその場所から慌てて逃げようとする。が、足元は柔らかく思うように
走れない。だが3人の足元の傾きは急激に増していった。


 その頃、宝田教授自ら運転するバスに乗って移動中の相撲部員たちと再び
縮小された松永だが……。回りで楽しそうに騒ぐ相撲部員たちに囲まれ松永は
どうするべきか思案していた。そのとき、
「おーい、ついたぞ。ここなら安全だ。みんな降りたまえ。」
 宝田教授が言った。バスからみんなが降りると、其処は人類の存亡を左右する
巨人騒ぎなどまったく影響がないかのように静かな何処かの地方都市という
雰囲気の場所だった。あたりはもう暗くなっていた。かなり遠くにその街には
似合わない超高層ビルらしき建物の明かりが見える。
「さあ、まずはここでみんな汗を流してくれ。既に連絡して貸切になっているから。」
 教授はみんなを有る建物の前まで案内した。その建物の入口の電光掲示の看板を
見て松永は青ざめた。
"ようこそ大河第一健康風呂へ。歓迎、相撲部ご一行様" 

第六十二話

松永は思わず叫んでしまった。
「みんな、看板を見ろ! おかしいと思わないか?」
(はっ!しまった。)
そう思ったときには遅かった。
教授が忠告していたとおり、松永は更に少し縮んでしまった。
「ん〜、何か言ったか?松永。」
体を縮めてまで言った言葉なのにみんな聞いてなかった。
部員達は教授と建物に入って行った。
太田が、
「おー、けっこういい感じの旅館。 避難っていうより旅行に来たみたいだ。
ほんとに俺達の貸切りなんですか?」
「あーそうだ、緊急事態だから特別にな。」
教授は部員達を広い部屋に案内して言った。
「ここの設備は自由に使っていいぞ。 温泉もあるからな。
私は用事があるから別の部屋にいる。」
「はーい」
教授が部屋から出て行き、部員達だけが残った。
部員達は部屋のまん中で円に座り、中心に松永がぽつんと立たされていた。
部員達は松永をジッと見たまま自分の股間を押さえている。
「やっぱまずは温泉だよな!!」
松永は嫌な予感が適中して、反論したかったが
喋ると縮んでしまうため何も言えない。
部員達は大はしゃぎで温泉に松永を連れて行った。というか、持って行った。
全員服を脱ぎ、温泉への扉を開けると
まるでミニチュアの山のなかに温泉があるという不思議な場所だった。
「すげー、山の大男の隠れ温泉って感じだよなー」
松永を除く部員達は、大満足で中に入って行った。 

第六十三話

「まずは体洗ってからあとで思いっきり遊ぼうぜ。 それまで松永はここでおとなしく待ってろよ。」
太田はそう言うと、松永を温泉の周りあるミニチュアの山の上においた。
松永は山におろされて気付いた。
(これはっ! みんなから見たらただのミニチュアに見えるんだろうけど、
今の俺のサイズで見ると、本物の山だ。 本物の山をそのまま縮めて温泉の飾りにしてあるみたいだ。
いったいどういうことだ?)
部員達は湯けむりの向こうの方で騒がしく体を洗っている。
(この山もあやしいが、このまま待ってたらまた弄ばれてしまう。)
そう思った松永が隠れ場所を捜そうと、歩き出したときだった。

ガサッ!

遠くの木の影から人影のようなものが走った。
(今のはなんだ? 人のように見えたけど・・・追いかけてみよう。)
松永は人影が見えたほうに向かって行った。

「まーつなーがく〜ん。あーそびーましょ!」
体を洗い終えた部員達が松永をおいた場所に集まってきた。
「あれ?いないぞ。 松永のやつどこ行ったんだ。」
部員達は松永を捜しはじめた。
しばらく捜していると、加嶋が、
「ここに洞穴みたいなのがありますよ。 この中じゃないっすか?」
すると北島が、
「どれどれ、俺の松永探知機で調べてみよう。」
と言って、その洞穴に自分のチンコをゆっくりと差し込んだ。
「どうだ、松永を感じるか?」
「いや、まだ何も・・」
北島は更に奥まで突っ込んだ。
すると・・・
「おっ、何かいる。 俺のチンコを押し出そうとしてるぞ。」
北島のチンコは、先を刺激されどんどん大きくなる。
「すげー気持ちいい。 ははは、今度はチンコの割れ目の穴をふさごうとしてるみたいだ。
狭い洞穴の中でぶっぱなされたらヤバいもんなー。 でもそんな弱っちい力じゃあ何しても無駄だぞ。」
北島の快感は頂点にたっして、チンコの先から容赦なく精液が発射された。
洞穴の中は一瞬で北島の精液に満たされた。
「ふい〜、気持ちよかったー。 松永はどうなったかな〜?」
北島は洞穴からチンコを抜いた。
中からどろ〜っとした精液といっしょに人が流れ出ててきた。
「あれ? 1人じゃないぞ!」
中からは4人のこびとが流れてきたのだった。
小人達は精液を拭って部員達を見上げた。
「こいつら全員松永じゃない! だれなんだこいつら?」
すると、こびとの1人が言った。
「巨人様、どうか怒りをおしずめください。」
部員達はさっぱり意味がわからないといった表情で顔を見合わせた。

そのころ、別室にいた宝田教授はその状況を隠しカメラのモニターで見ていた。
「そうだ、そこではお前らは巨人なんだ。自分達の思うように行動するんだ。フフフ・・・」 

第六十四話

宝田教授は通信機を取り、誰かと話しはじめた。
「そっちの状況はどうなってる?」
「はい、あの超巨大巨人は更に巨大化して寝はじめました。 例の3人は寝返りに巻き込まれて確認できません。」
「そうか・・・もう地球も終わりだな。あの3人が生きていたとしても、もうどうしようもないだろう。」
「一応ひきつづき調査します。」
「わかった」
教授は通信機をきった。


超巨大福田の寝返りに巻き込まれた3人は、間一髪で太股と太股の間に滑り込んで助かっていた。
「はあ・・はあ・・はあ・・今のはダメかと思った。」
「とりあえずみんな無事でよかったな。」
飯田が言った。
「どうする? こんなとこに長くいるのは危険すぎる。」
すると部長が、
「そうだな、まずどうやってここから抜け出すか。こいつのケツをよじ登って背中の方から行くか、
足の先の方まで地面を歩いて行くか。」
飯田が少し悩んで言った。
「足の先の方に行くのは危険すぎないか? 足を少しでも動かされたら潰されるぞ。」
「よし、ケツを登るルートで行こう。石本もいいな?」
「う、うん」
3人は福田に刺激をあたえないように静かに巨大ケツを登りはじめた。 

第六十五話

 一方、人影を追いかけていった松永は……
(なんだここは……村!?)
 松永は両側を切り立ったがけにはさまれた谷のような地形、そこにいくつかの
小屋が建っている場所にやってきた。
(それにしてもここには人がすんでいるんだろうか……。)
 松永は村の中に入っていった。そのときである、松永は思わす叫び声を
上げそうになった。ふと気がつくとじぶんを見つめる何人もの人に囲まれて
いたのだ。だが、声を出せば自分は更に縮んでしまう事になる。既に彼らに
比べても松永は小柄な部類に入っていた。そこにまた1人誰かが走ってきた。
「大変だぁー。」
 回りの人たちの視線は、松永からそっちのほうへ。
「食料はどうした?仲間は?」
「食料を探しているうち、うっかり巨人様の支配される『禁断の地』に入りこんで
 しまった。」
 回りの人たちは、
「そんな〜」
「もうおしまいだ〜」
 そうしているうちに更に騒ぎは大きくなることになる。1人が上のほうを見上げ、
「もう手遅れだ」
 回りの人たちはその方向を一斉に見る。なんだろうと松永が同じように見ると、
太田が自分と回りの人たちを見下ろしていた。すると集団の中から長老らしき
人が現れた。彼は太田に、
「巨人様。我々の愚行をお許しください。お詫びに生け贄をささげます。どうか、
 この村だけはお見逃しください。」
 太田はきょとんとした表情で松永のほうを見下ろしている。次に太田は松永の
ほうへ向かって手を伸ばしてきた。松永は、
(太田のやつ、この事をどう思っているんだ?それに俺のことわかってくれたん
だろうか?) 

第六十六話

太田の巨大な手は、松永の頭の上を通り越して
後ろにあった民家を掴み上げた。
村のこびと達の騒ぎが更に騒がしくなった。
「ひいい〜、巨人様やめてください。」
太田はこびと達の騒ぎなど気にすることもなく、掴んだ民家を他の部員達に見せた。
「これ見てみろよ。小さいけど家みたいだぞ。」
太田に呼ばれて部員達が集まってきた。
松永のいる村から見ると、山の向こうから次々と巨大な大男が姿を現す。
そのとき松永の腕を誰かが掴んだ。
こびとの男だった。
その男は松永に言った。
「君は見かけない顔だね。どこの村から来たんだね? いや、今はそれどころじゃないね。
あの巨人様達は怒りで我を忘れてらっしゃる。 私達といっしょに逃げるんだ。」
松永はその男に引っ張られ、無理矢理連れて行かれた。 

第六十七話

 そのころ、超巨大福田のケツ登山をしていた部長たち3人は……
「ついたぞ。」
 部長が言うと飯田は、
「もしかしてここは……。」
「まさか、ここから入るんじゃ……。」
 石本が言う。部長は、
「いや、入らなくていい。だがこのままやつが再び巨大化すれば薬が効く可能性が
 小さくなるかもしれない。少しでも薬を早く使うんだ。」
 3人がたどり着いたのは超巨大福田のケツの穴の前だった。飯田は、
「そうか。薬をこの穴の中に入れて座薬として使うのか。」
「やってみる。」
 石本はそう言うとその穴に両手を入れ、広げようとした。しかしそこは硬く
閉じられていて、石本の力ではまったく開く気配は無かった。
「駄目だ〜、まったく動かないよ〜。」
 石本が言うと飯田は、
「でもここを広げないと、薬は使えないぞ。」
 すると部長は、
「3人で力を合わせよう。1、2の3で行くぞ。」
 3人は超巨大福田のケツの穴に手をかけた。そのとき石本が何かに後ろから押され、
バランスを崩しかけた。
「わっ!」
 実は超巨大福田が少し体を動かそうとしていただけなのだが、その影響で3人の
両側のケツの肉が押しつぶさんばかりに迫ってきた。


「ここまで来れば大丈夫だ。ここに隠れていよう。それにしても君はどこから来た?
 さっきから何も言わないけど。」
 松永は知らない男に手を引かれ、村外れの空家に連れてこられた。松永は事情を
説明したくても話せば更に小さくなってしまう。そのときである。地震のように
松永達の隠れていた空家が動き出した。
「あれ。こんなところにも家みたいなのがあったぞ。良く出来てルナー。」
(あの声は北島だ。)
 松永がそう思ったとき、床が大きく傾いた。その振動で松永達は外へ放り出された。
その先には……大きく開かれた北島の口があった。 

第六十八話

「わああああーーー・・・」
松永と男は北島の巨大な口の中に落ちた。
北島は、ただ家の中を覗こうとしていただけなので、口に土か何かが入ったと思った。
「うわっ!!口に何か入った。 ぺッ ぺッ」
二人は北島のツバといっしょに森の中に飛ばされた。
副主将の川田が言った。
「おいみんなー。あんまり物を壊したりするなよ。あとで弁償とかになったらどうすんだ。
遊ぶのは松永を見つけてからにしろ。」
その言葉のおかげで部員達は少しおとなしくなった。
そして、飛ばされた松永と男は
「巨人様は家を狙っておられるようだ。このまま森の中に隠れていた方が安全かもしれないな。
今までこんなことなかったのに、いったいどうしたんだ? 前にも禁断の地に入り込んでしまった奴がいるが、
そのときは村まで運んでくださったんだ。」
男はそう言って松永の方を見た。
「ん!!君、さっきより少し小さくないか? いや、確かに小さくなってるぞ。」
松永は驚いて自分の体を見た。
(しまったー、北島の口に落ちたときに叫んでしまったんだ。これ以上声出すのはマジでやばいな。)
「いったい君は何者なんだ?」


「なあ川田さん、こいつらに松永を捜させたらどうです?」
太田が両手にこびと達を乗せて言った。
すると川田が、
「そうだな、俺達が上から捜しても木がジャマで捜しにくいからなー。」
太田は自分の手の上に乗っているこびと達に言った。
「お前ら、松永っていうやつを捜してきてくれ。あいつ裸だからすぐわかるだろう。
見つけてきてくれたら、俺がお前らにご褒美してやる。」
太田の手から解放されたこびと達は、言われたとおり松永を捜しに森に入って行った。
北島が太田に言った。
「ご褒美って何だよ?」
「そんなの決まってるだろ。俺がたーっぷり遊んであげるんだよ。」 

第六十九話

「その話しは後だ。とにかく今は逃げよう。」
 男は松永の手を引き、更に山奥に進んでいく。松永は余計な詮索をされるのでは
ないか心配していた。何か質問されても答える事が出来ない。言えばますます
小さくなり、更に怪しまれてしまう。だが逃げている間はそれはなさそうだ。
後ろを振り返っても自分から見れば巨大な部員たちの姿も見えなくなった。
「ここまで来れば安心だ……。もう少し先に行けば湖がある。そこで休もう。」
 松永は男と逃げまわってたためつかれていて喉も乾いていた。森は開け、
目の前に湖が現れた。森から出るとまたみんなに見つかってしまうのでは
ないのかと思い、松永はあたりを見まわしたが、部員たちの姿は見れない。
どうやらこの場所は死角になっているようだ。男は、
「心配性だな。ここまで巨人様……待て……。」
 回りを見まわし、異常に気がついた。
「やつがまた現れたのか……。」
(やつって何だよ〜聞きたいけどしゃべるわけには行かないし……)
 松永は急に不安になった。
「仕方が無い。巨人様にお願いして退治していただくしかない。戻ろう……。」
(ええっ。せっかく逃げてきたのに戻るのか〜)
 何が何だかわからないもののために戻るのか聞くに聞けない松永は
泣きそうになった。
「君はこの辺りの者じゃないみたいだからわからないかもしれないけど、これは
 どうしようもない事なんだ。」

-メリメリ、バリ-

 そのとき、向こうの木が大きく動き、巨大な怪物が現れた。その姿は10mは
有る巨人だった。男は、
「やつらは巨人様と違って私たちを襲う事しか考えていない。逃げるんだ。」 

第七十話

(なんなんだよあいつは?)
松永は、こんなことになるならおとなしく待って風呂で弄ばれてた方がましだったかも、
と思いながら手を引かれて逃げていた。
全力で走っていたがどんどん距離が縮まっていく。
「このままじゃ捕まってしまう。 そうだ!」
男は松永の手を引っ張り、逃げる進路を少しかえた。
すると、松永達がギリギリ入れるぐらいの穴があった。
「この中に入るぞ!」
松永は男に言われるがままにその穴に逃げ込んだ。
中に入ると、入り口は狭かったが中は立って歩けるぐらいの洞くつのようだった。
「この洞くつは村の近くまで通じてるんだ。 そこから巨人様に退治をお願いしに行こう。
巨人様の怒りがおさまればいいんだが。」
二人は洞くつの中を進みはじめた。
追いかけていた怪物のような巨人は、穴から腕を突っ込んだりしていたが中に入ってくることはなかった。
そして松永達は洞くつの出口にたどり着いた。
洞くつから出たときだった。
「いたぞーーー!!」
誰かの大声がして、松永達は周りを取り囲まれた。
その中の1人が言った。
「ほんとだ、裸だ。 お前が松永だな?」
松永はどういうことかわからなかったが、黙ってうなづいた。
「俺達といっしょに巨人様のところに来てもらおう。 巨人様はお前を捜しておられる。
お前が行けば巨人様の怒りはおさまるはずだ。」
その言葉を聞いて、松永はだいたい理解できた。
(そうか、俺を捜すために部員の誰かがこびとに命令したんだな。)
松永といっしょに逃げてきた男が言った。
「やつが出たんだ。 村の方におりてくるかもしれない。 早く巨人様にお願いしに行った方がいい。」
「それは大変だ。早速巨人様のところへ向かおう。」
小人達は松永を取り囲んだまま森の中を歩いた。

(ここは)
松永が最初に置かれたあたりだった。
こびと達は一斉に叫びはじめた。
「きょじんさまーーー。 きょじんさまーーーー。」 

第七十一話

「あ、連中が戻ってきたみたいですよ。」
 こびと達の声を聞きつけた太田が言う。その声に部員たちが集まってくる。


「巨人様、お願いがございます〜。」
 松永たちの前に現れた部員たちの前でみんながひれ伏しながら言う。


「あれ?なんかお願いがあるみたいですよ。」
 北島が言う。すると川田が、
「聞いてやろう。松永も思ったより早く見つかったみたいだしな。」
「ありがとうございます〜。」
 こびとの一人が言うと、回りのこびとたちも、
「「ありがとうございます〜。」」
「そうだ、お願いって何だ、誰か代表者一人を決めて言え。いっぺんにいわれる
 とわからん。」
 川田が言うとこびとたちは相談をはじめ、そのうちの一人が、
「お願いです巨人様、村を荒らそうとする怪物を退治してください〜。」
 それを聞いた部員たちは、
「怪物って……。」
「そんなのが居るのか?」
「でも連中が言う怪物なんて、俺たちか見たら大した事ないんじゃ……。
 おい誰か案内しろ。」
 北島が言うと川田が、
「そうだな、でも毒を持っているかも知れんぞ、念の為気をつけろ。」
(しまった、そこまでは考えてなかった。毒蛇とかだったらどうしよう)
 と、突然北島は不安になった。
「あれ、怪物ってこいつの事か?」
 山の中を注意深く見まわしていた太田が、穴に腕を突っ込みぬけなくなった
こびとを見つけた。こびととは言っても村人たちの何倍も大きい。
「どんなやつだ?」
 北島が聞く、
「こびとだ、とは言っても連中から見れば巨人だろう。しっかし馬鹿だな〜、
 穴に手をいれて抜けなくなってて困ってる。」
(よっしゃぁー、楽勝ジャン)
 北島は手を伸ばし、太田が見つけた“怪物”をつかみ、無理矢理穴から引き離した。
そしてこびとたちに見せ、
「怪物は退治してやったぞ〜。」
 するとこびとたちは、
「やつだ、間違いない。」
「巨人様〜。」
「ありがとうございます〜。」

-かぷっ-

「うわっ、いててっ」
 北島は自分が捕まえた“怪物”に突然噛み付かれたのだ。そのときバランスを崩し、
松永たちのほうへ倒れ掛かった。 

第七十二話

「おとっと・・ヤベッ」
北島がこのまま倒れると松永達は腹の下敷きになってしまう。
北島はとっさに片手で手をつき、松永達をよけるように転がった。

ズズウ〜ン  バキバキベキベキ・・・・
(こびと達にはそう聞こえる)

「ひー、あぶねー。もうちょっとでこいつら潰すとこだった。」
すると川田があきれた顔で言った。
「北島、お前の下見てみろー。」
北島が言われたとおり下を見ると、
転がった場所が北島の重さで崩され、しかも今北島が座っている場所は村があった場所だった。
「ははは・・・俺、山と村潰しちゃった。」
「だから言っただろ。 あとで旅館の人に謝りに行けよ。」
「はーい」
北島がもとの場所にもどって言った。
「くそっ、こうなったのはこいつのせいなんだ。 こいつが突然噛みやがったんだ。」
北島はそのまま洗い場の方に行き、掴んでいたこびと(怪物)の上に洗面器をかぶせて閉じ込めた。
松永を連れてきたこびと達の1人が、恐る恐る言った。
「あ、あの〜、ご褒美のほうは・・・・?」
真面目なこびと達はご褒美が玩具にされることだなんて思ってもいないのだ。
太田が言った。
「あー、そうだったな。こいつらにご褒美してやらないとな。」
太田は他の部員達の顔を見て言った。
「お前らもやりたいだろ? すっきりしてるのは北島だけだしな。」
もちろん部員達は目を光らせてうなずいた。 

第七十三話

 部員たちは集まって相談をし始めた。松永の回りの村人たちは、
「それにしても巨人様からご褒美をいただけるなんて、なんだろう……。」
「きっと私たちのの見た事もないすばらしい物に違いない。」
 松永だけは何かいやな予感を感じていたが、言ってしまえば更に小さく
なってしまう。村人たちに怪しまれるどころか下手をすれば小さくなりすぎて
消えてしまうかもしれない。松永はご褒美の期待をしている回りの村人たちとは
反対に不安で一杯だった。相談の終った部員たちはじゃんけんをしていた。

「じゃ、例のものを……。おまけにそこのミニチュアを壊してるし。」
「しょうがないな。」
 太田はは一旦脱衣所まで行き、そこにあった自販機のそばのゴミ箱の中を調べた。
しばらくしてミニチュア温泉風呂に戻ってきた太田は、
「これだけしかなかったけど。」
「上等上等。」
 川田が言う。
「今からご褒美を与えよう。みんな船に乗って俺たちのところへ来い。」
 そいうって川田は太田が集めてきたペットボトルのキャップを一つずつ出し、
こびとたちをその中に乗せては、湯船に浮かべた。松永は気が進まなかったが、
その事を言うに言えず村人たちに手を引かれペットボトルキャップの船に
乗せられた。ある者は手で、又有るものは乗るときに拾った木の枝などを
オール代わりにして目の前の巨人たちに向かって船を進めていった。 

第七十四話

部員達は湯船の端に横にならんで腰をかけ、股を開いた。
太くて巨大な太股のあいだには、半分ほど水面に浸かったチンコが波に揺れている。
太田がこびと達に言った。
「褒美をもらいたいと思う巨人の島に上陸・・・いや、上チンコしろ。」
こびと達は、それぞれ自分がいいと思う巨人の方へキャップ船を進ませた。
そしてだんだん近づくにつれ、どのこびとが誰に向かってるのかがはっきり分かれてきた。
加嶋が言った。
「俺のとこちょっと少ない。」
加嶋は足で波を作り、こびとを自分の方に来るようにした。
「おい、加嶋!! ずるいことすんじゃねー」
みんなから言われ、加嶋は足をもどした。

「おー、来た来た。」
太田は自分のチンコの周りに集まってきたキャップを見て言った。
真面目なこびと達の中にも根性の悪いやつがいるらしく、太田のチンコに上陸目前でもめていた。
「俺が一番にご褒美をもらうんだ! お前らは後からこい。」
「何言ってんだ、ご褒美はみんなの物だぞ。」
「ならお前らは上がってくるな。」
根性の悪いこびとが、持っていた枝で他のこびとの船をひっくり返そうとしだした。
見ていた太田が言った。
「お前、失格。」
太田は悪いこびとをキャップごと摘んで、少しケツを浮かせて
その下に置いた。
「ちょっとの間、牢屋でおとなしくしてろ。」
太田はそう言って、再び座った。
そのこびとはキャップの上を巨大なケツでふさがれてしまった。
「もーしませんから、出してくださーい。」
大声をあげても、キャップの中で響くだけだった。

他のこびとたちは巨人のチンコに到着し、キャップから降りて上陸していた。
川田が言った。
「そろそろ自分のペットが決まったか?」
「俺は決まった。」
「俺も」
部員達はペットボトルのキャップで、自分達のペットを決めていたのだ。 

第七十五話

 そのころ部長、飯田、石本の3人は……真っ暗なところにいた。飯田が、
「おい、ここはどこだ……。真っ暗で、生暖かくて、なんか臭い……。」
「僕たち、どうなっちゃったの……?」
 石本が言う。
「よく考えてみよう。俺たちは巨人のケツを上っていって、入口を見つけた。
 そうしたら、両側から肉の壁が迫ってきて、はさまれた。」
「と、言う事は……。」
 飯田が言う。石本が、
「もしかして僕たち全員ケツの穴の中に入っちゃったってこと?」
「この匂いからして、間違いない。」
 部長が言うと石本が、
「僕たちとんでもないところに閉じ込められちゃった。」
「それにしても、なんかさっきより狭くなったような……。」
 飯田が言う。すると部長が……。
「薬が効いたのか……。俺たちがこの中に入ったとき、薬の中身が飛び出し、
 座薬のような感じで効いたんだ。やつの巨大化で相対的に量が少なくなって
 いたから効き目は遅いのかもしれない。」
 すると石本が、
「やったね。」
「まだそうと決まったわけじゃない。仮にそうだとしてもここからどうやって
 脱出する……。」

 一方、部員たちの様子を別室のモニターで見ていた宝田教授は、
「いいぞ、これで我々の思う壺だ……。ン、こんなときに緊急通信……。」
『例の超巨大巨人が縮小をはじめました。』
「どう言う事だ……もしかしてあの薬があの状態で効いたのか……。まあいい、
 今更遅いわ……。あの3人はもう助かるまい……。」
『その3人が出てきました。おならです。超巨大巨人のおならとともに脱出
 したようです。』
「なんという事だ。あの3人は知らなくてもいいことを知りすぎた。消えても
 らわねば……そうだ、あれを巨大化させて転送すれば……。」

 その頃、ミニチュアの村から連れだしたこびとたちと遊ぼうとしていた部員たちは、
少し前に捕まえた怪物(部員たちから見ればこびと)がいなくなっていることに
気がつかなかった。 

第七十六話

『転送完了しました。教授、いや隊長!』
「なんだと!? まだ転送の命令は出してないだろ! 超巨大巨人が完全に
 縮む前に目を覚ましたら逆にやられるだろう。」
転送装置の限界サイズは、今の部長達のサイズだった。
つまり、あの怪物を巨大化させて転送しても部長達と同じサイズなのだ。
『それなら問題ありませんよ、隊長。 やつならあの3人を倒すのにそれほど
 時間はかかりませんから。 問題は、あの超巨大巨人がどこまで縮むのか。』
「・・・失敗したら失敗したで別にかまわん。 地球は半分あきらめていた
 ところだからな。 まあ、潰すにはもったいない星だが。 次のターゲットの
 惑星も決まっているからな。 それに、あいつらも巨人兵として順調に育って
 きているしな。」


そして部長達3人は・・・
「えらいめにあったなー。」
「うわー、今まであいつのケツの中にいたなんて・・・気持ち悪い。 今すぐ
 風呂に入りたいよー。」
飯田が何かに気付いた。
「おい・・・何かいるぞ。 大きさは俺達と同じくらいだ。」
転送された怪物が3人の前に現れたのだ。
「あいつも薬飲んだのかなー」
石本が言うと部長が
「いや、何か様子がおかしい。 気をつけた方がいいぞ。」
怪物はゆっくりと3人に近づいてくる。
そのときだった。

「うーーーん、何か暑ちーなー。」
ゴゴゴゴ・・・・

超巨大福田が薬の反応で体が暑くなり、起きてしまった。
さっきより縮んだと言っても、まだまだとてつもないデカさには変わりない。
しかも薬の効き目が遅いため、かなりのスローペースで縮んでいる。
「どうしよう、あいつ起きちゃったよー。」 

第七十七話

「うー〜〜〜〜〜〜〜ん、何だお前ら。まだ生きていたのか。」
 超巨大福田は眠い目をこすりながら起きあがり、部長たちに気づいた。
「そうだ、ちゃんと目がさめないうちに逃げちゃおう……。」
 石本が部長と飯田に言う。
「じゃ、こいつからは逃げられるのか?」
 先ほどの怪物が部長たちを見ている。


「あ〜、良い湯だったナー。」
「新しいおもちゃも手に入ったし。」
 部員たちは温泉から上がり、服を着始めていた。
「温泉は、いかがでしたか。」
 温泉を出たところに見なれない男が立っていた。
「宝田教授からお話は聞いております。皆さん大変でしたね。申し遅れました私、
 多田と申します。」
「おい。」
 川田が北島に合図する。
「あの〜、すみません、温泉の……、ミニチュア壊しちゃったんですけど。」
 すると多田は、
「良いですよ。ここは近々改装する予定ですから。それから皆さんの泊まる
 ところへご案内します。」
 部員たちは多田に案内され、路面電車のような乗り物に乗り、マンションの
ような建物の前にやってきた。部員たちが多田の案内で建物の中に入ると、
「もしかして、ここ俺たちの部屋?」
 部屋の前にそれぞれ部員たちの名前が書かれていた。多田は、
「あのような事態になりましたので皆さんにはこちらで生活していただきます。」 

第七十八話

川田が多田に言った。
「生活していただきますってことは、しばらくこの部屋で暮らしていいってことですか?」
「ええ、もちろんですよ。 この部屋のものは御自由にお使い下さい。もし破損しても
 ぜんぜん問題ありませんので、自分達の好きなように使ってください。では、私はこれで。」
そう言うと多田は帰っていった。
太田が言った。
「でもすごいですねー、緊急事態だから大部屋で寝かされるのかと思ってたらマンションの
 個室を用意してもらえるなんて。」
川田が言った。
「じゃあ、一度自分の部屋で荷物を整理したあと俺の部屋で集まってくれ。」
部員達はそれぞれ自分の名前が書かれた部屋に入っていった。

カチャンッ・・・・・ガチャッ

「ん? 今カギがかかったような音が。」

ガチャガチャガチャ!!

「やっぱりカギがかかってる。 オートロックってやつかな?いや中から開けられない
 わけないよな?」
どこをさがしてもカギを解除できるものがない。
部員達は全員部屋に閉じ込められた状態になっていた。
部員達はしばらくドアを叩いたりカギをさがしたりしていたが、
いったんあきらめて部屋の奥に入っていくことにした。

ここは北島の部屋。
「川田さんは集れって言ってたけど、ドアが開かないんじゃしょうがないよなー。」
北島は玄関から短い廊下を通り、部屋のドアを開けた。
「えっ・・・何これ・・・?」
北島は、部屋に入ろうかどうかためらっていた。
なぜならその部屋の床が普通じゃなかったからだった。
その部屋の床は、どこかの街をそのまま縮めて部屋の形に切り抜いて敷きつめた
ようなものだった。
そしてその小さな街の上に普通のベッドやテレビ、その他の家具が置かれていた。
「何なんだよ・・・これ。 足元に小さい家とかビルが建ってるけど。」
北島は部屋に入るのをあとまわしにして、トイレに入った。
「けっこう我慢してたからなー。」
北島はファスナーを下ろしチンコを出し、便器を見下ろした。
「え〜・・・、これ・・・やっちゃっていいのかなー?」
便器の中にも小さな家がいくつも建てられていたのだ。
「そういえばあの人、破損してもいいって言ってたよなー。我慢できねーしやっちゃお。」

ジョボボボボ・・・・・

北島の小便が家々に降りかかった。
水圧にたえられない家は潰され、一瞬で洪水のような状態になった。
「ふ〜、すっきりした。」
トイレから出た北島は、建物を潰しても平気になっていた。
そして再び部屋のドアを開けた。
「俺の部屋なんだから遠慮することないよな。 とりあえずベッドに座るか。」
北島はためらうことなく家を踏みつぶしながらベッドの方へ歩いていった。
ベッドに座った北島は、
「おっと、こいつらのこと忘れるとこだった。」
小さい菓子箱から温泉で捕まえたこびと達をベッドの上に出した。
こびと達は恐怖どころか逆に感激していた。
「これが巨人様の世界なのか、すごーい」
「巨人様の世界に招待して下さったんだ。」
「巨人様に感謝しないと」
北島はテレビをつけた。
だが、どのチャンネルをまわしても怪獣映画や巨人が暴れるような映画ばかりだった。
「なんだよ、普通の番組はやってないのか?」
北島はテレビを消した。
「まあいいか、今日は楽しそうなおもちゃがあるからなー。」 

第七十九話

(もしかして部長たちじゃ……)
 松永は先ほど入った温泉のミニチュア村のこびとたちといっしょに、
太田の部屋に来ていた。太田はテレビをつけたまま食べ物を探しにテレビの
ある部屋から出ていた。残された松永は、テレビに映っているのは映画ではなく、
さらに大きな巨人の横で怪物とにらみ合っている部長たちだった事に気づいた。
もちろんその事を太田に言えば更に体が小さくなってしまう。これ以上小さく
なれば村人から見てもこびと、いや消えて無くなってしまうのだろうか。
松永は不安になった。松永は考えた。
(何か口に出さなくても知らせる方法はないものだろうか……)


 一方、自分たちの様子がテレビで生中継されている事など知るよしもない
部長たちのところでは、
「おい、そこの変なやつ、お前どこから来た?」
 超巨大福田は、部長たち3人をじっと見ている怪物に話しかけた。そして、
「フーン、お前らこんなやつにびびってンのか、俺がかルーク踏み潰して
 やろうか。」
 超巨大福田はゆっくり起きあがり、部長たちをまたぎ、怪物を踏み潰そうとした。
そのときである、
「ウガァァァァァ!!」
 怪物は大きく口を開けた次の瞬間、

-ビシュゥゥゥーン-

 なんと、怪物の口からビームのような物が放たれ、それが命中した超巨大福田は
遠くの山までぶっ飛ばされた。

-ズドォォォーン-

 超巨大福田の落下したところは、火山の噴火のような巨大な土煙が上がり、
山の形が完全に変わってしまった。それを見た石本は、
「えーっ、あんなのと戦うの……。」 

第八十話

飯田が言った。
「あの怪物みたいなやつ、普通の人間じゃないよなー?」
部長がうなずいて言った。
「ああ、普通の人間が巨大化してもあんなことできるわけない。」
飯田が言った。
「だとすると考えられるのは、俺がここにもどって来たときのように宇宙人に
 転送されたってことか。」
部長が言った。
「あの怪物は俺達に攻撃しようとしている。宇宙人は俺達を消すつもりなのか。」
「えーー、そんなのひどいよー。 今まで宇宙人の言う通りがんばって戦ってたのにー。」
怪物巨人は、超巨大福田をぶっとばすエネルギーを使ったため
かなり疲れている。
部長は、何かひらめいた表情をして空を見上げた。
空には自分達を中継しているテレビ局のヘリともう一つ。
部長は飯田と石本の顔をよせて、ひそひそと話した。
すると飯田が、
「あれがもしそうなら、来るだろうな。」
部長が、
「よし、あの怪物が疲れてるうちに作戦実行しよう。」
3人は部長の合図で海の方へ走り出した。
どんどん沖の方へ進み、やがて巨大な3人でも足の届かない場所に来た。
「よし、この辺にしよう。 せーのっ!」
3人は一斉に海の中に潜った。
その上空にヘリが近づいて来た。
そのヘリはテレビ局ではなく、宝田教授に状況を報告している偵察ヘリだった。
「あいつら怪物がこわくて逃げたんだな。 この辺にいるのはわかってるんだぞ。」
偵察ヘリは3人を探すため低空飛行をはじめた。
ライトを照らすが、真っ暗な海の中はほとんど見えない。
そのときだった。

ザッパアアアーーーン!!

三つの巨大な水柱とともに、3人が浮上してきたのだ。
偵察ヘリは巨大な3人に囲まれ、あわてて上空に逃げようとした。・・が
「逃がすかっ!!」
部長がすばやく捕まえた。
そしてヘリを覗き込むように顔を近づけて言った。
「お前、宇宙人の仲間だろ?」
「な・・何のことですか? 宇宙人なんて知りませんよ。」
「そうか、なら用はない。 石本、おやつでも食うか?」
「は〜い、いただきまーす。」
部長はヘリを石本に渡した。
石本はヘリを大きく開いた口にゆっくり近付けて、わざとらしくよだれを垂らした。
「ひぃーーーー。 言います。正直に言いますから食べないでーー。」
石本は口を閉じてヘリを部長に返した。
「じゃあ、何もかも話してもらおうかー。 もし変な嘘ついたら握り潰すからな。」 
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