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第四十一話

 部長は、頭上のUFOに向かって叫んだ。
「おい宇宙人!!どういうつもりかしらないが、お前たちのところへ行く気はない!!
 帰ってくれ!」
"§○■〓……"
 声らしきものはまだ聞こえている。UFOも上空に静止したままだ。
「お前たちの言葉はわからん!日本語でしゃべれ!!」
「宇宙人怒らせたらちょっとまずいんじゃない?」
 石本が言う。もちろん松永も同意見だった。そのときである。
"手を貸して欲しい。我々がここでできる事は限られている……"
「凄いです部長。ホントに日本語で言ってきましたよ〜。」
 石本が言う。そのときである。
「吉沢……(部長の名前)。」
 聞き覚えのある声に部長が振り向くと、男が立っていた。部長や石本と
同サイズである。部長は、
「飯田(仮名)先輩!どうしてここに?」
「わからない。なぜ吉沢が同じ大きさに……。こいつは……。」
「後輩の石本です。頭の上に乗っているのは松永です。同じ相撲部員です。」
 部長が言うと石本が、
「UFOが帰っていくみたいですよ。居なくなった飯田(仮名)先輩も帰ってきたし。
 もう帰りましょう。」
 部長は、
「ちょっと待て。やつらは手を貸して欲しいといった。もしかしたら俺たちだけでは
 手が足りないから、時空を越えて飯田(仮名)先輩もつれてきたんじゃ……。」
 飯田(仮名)先輩も、
「俺もそう思う。吉沢を連れ去った罪滅ぼしをしないといけない。」
 部長の頭の上の松永は自分だけでも帰りたいと思ったがとてもいいだせる状況で
はなかった。三人の巨人たちは、一人の人間を連れ、ゆっくりと上空を飛ぶ
UFOについて歩いていった。 

第四十二話

UFOは、3人を街の様子がギリギリ見える人けのない砂浜に連れて行った。
「で、手を貸してほしいことって何だ?」
部長が聞くとUFOが言った。
「今から言うことは少し後の未来のことだ。 この街のどこかで突然巨人が現れる。
それもお前達より巨大な巨人が。 そいつを3人の力で止めてほしい。」
部長が言った。
「もう1人あの薬を飲んでしまうやつがいるってことか。 だが、部室にあった薬は
俺が飲んだビンが最後だったはず。 いったい誰が・・・?」


そのころ、松永達の学校のすぐ近くのボロアパートでそれは起ころうとしていた。
「親分、まだ開かないんすか? っていうか、ほんとに開けられるんすか?」
「うるせー、黙ってろ。 もうちょっとで開きそうなんだ。」
ボロアパートの1室で何かを開けようとしている二人組。
彼等は部室から金庫を盗んだ犯人だった。
その部屋にはテレビもラジオもなく、街が大変なことになってることを知らない。
「よし!開いたぞ。」
「マジッスか!」
金庫がゆっくりと開いた。
「な、何すか?これ」
「金入ってねーじゃねえか! 栄養ドリンクなんか金庫に入れてんじゃねーよ。
どんだけ苦労して開けたと思ってんだ。」
「でもよく考えたら相撲部の部室の金庫っすからねー、栄養ドリンクが入ってても
おかしくないんじゃないっすか?」
「何他人事みたいに言ってんだ福田!! だいたいお前が見つけた金庫だろ。」
福田は金庫から1本ビンを取り出してふたを開けた。
すると親分はビンを取り上げて言った。
「お前なあ、デブがこんなもん飲んだら太るだろ!! 泥棒が太ってたら
あしでまといなんだよ。 これは全部俺が飲んでやる。」
「そんな〜」
親分は薬を一気飲みした。
「おっ、これは金庫に隠してあっただけあってすごい効き目・・・・」
突然、親分が服を残して消えた。
福田は、何が起きたのかまったくわからず、しばらく親分の着ていた服をじっと見ていた。
「もしかして、床が抜けて下に落ちたのかな?」
福田は親分の服をめくった。
「虫・・? いや、親分?」
服の下に小さくなった親分が倒れていた。
「親分がこびとになった。 へへへ・・・」
福田は小さくなった親分をじろじろ見たり指先で触ってみたりした。
すると、親分が意識を取り戻して起き上がった。
「俺、こういうの夢だったんすよ。 現実にこびとがいたらいじめてやるのが。」
親分はまだ状況が飲み込めず、どこから声がしているのかわからない。
福田は、きょとんとしてる親分を摘んで顔の前に持って来た。

「うわあああああ・・・・」 

第四十三話

 再び部長たちと松永がいる砂浜、UFOが去った後部長が、
「さてどうする?巨人が出現する事はわかっている。それまでに何か出来ないか?
 そうだ松永、お前先に宝田教授のところへ行って行ってみんなに知らせて来い。
 みんな薬の材料を持って集まっているはずだ。」
 松永は、
「部長。裸のまま行けば到着するまでに警察につかまっちゃいますよ。」
「じいちゃんの家がこの近くなんだ。」
「は?」


 その場所から少し離れた民家、二人の老人が話していた。
「ほう、吉沢さんのお孫さんの貴(部長の名前 これで彼のフルネームが吉沢貴
 という事がわかりましたね)ちゃん、こないだまでちっちゃい泣き虫坊主だと
 思っていたが、もう相撲部の部長になったか。すごいもんじゃのう。」
「いや、まだまだ。」
 そのときである。
「おい、じいちゃん。」
 突然大きな声がした。が、声の主は見えない。その声は遥か上から聞こえて
くるようだ。
「あ、うわさをすればなんとやら。その声は貴ちゃんじゃろ。」
「おい、こんな時間に何のようだ。」
「じいちゃん。すまねえ。うちの部員が身ぐるみはがれて困ってる、服を
 貸してくれ。」
「貴、どこにいる。」
「今ちょっと……。とにかく急いで。」

-どすん-

 大きな音に2人が振り向くと、裸の男、つまり松永がそこに倒れていた。松永は、
「いたたた。部長。もうちょっと丁寧に降ろしてくださいよー。」

 やっと服を着ることができた松永は、宝田教授のところへ向かった。


 一方、泥棒2人組の住むぼろアパートの一室、こびとになった親分を摘み上げた福田は、
「さて、今までつもり積もった恨み、今晴らさせてもらいますよ。お・や・ぶ・ん。」
「ちょっとお前、福田だろ。ソ……そんなこ……うわぁぁぁっ!!」
 福田は小さくなった親分をつまむ指に力を加えた。
「や、やめろぉっっ!痛い!潰れる!!」
「けっこうこびとって丈夫ですね。さてこれからどうしましょうかね……。」 

第四十四話

「ちょ・・ちょっとまて。いったいどうなってるんだ?
何で福田がこんなにでかいんだ?」
親分の頭は、理解できないことだらけでパニック状態。
福田は親分を掌に座らせて言った。
「たぶんこれ飲んだからじゃないっすか?」
福田はビンを取ってラベルを読んだ。
「『縮小薬』やっぱりこれ人を縮める薬だったんすよ。 飲まなくてよかったー。」
「お、おい。元に戻る方法とか書いてないか? それとも時間がたてば戻るのか?」
福田は金庫の中に残っているビンを見た。
「よく見たら元に戻る薬もあるみたいっすね。」
それを聞いた親分は少し安心した表情で言った。
「そうか、よかった。 早くその薬を飲ませてくれ。」
福田は再び親分を摘まみ上げると
「は〜? 何寝ぼけたこと言ってんすか? 元に戻すわけないでしょ、せっかく
 楽しそうな玩具を手に入れたというのに。」
「何言ってんだ、福田!! ふざけるな。 今までの恩をわすれたのか?」
「福田ぁ? 福田様の間違いだろ!!」
福田は思いっきり親分を握りしめた。
「ぐぎゃあああああ・・・」
「へへへ・・・。思いっきり力入れても潰れねー。 こりゃいろいろ遊べそうだな。」
福田は親分を床においた。
すると親分はヨロヨロになりながら福田から逃げようとした。
「んー? もしかして逃げようとしてるのか? 逃げようとしたら食っちまうぞ!!」
親分は小さく震えた声で言った。
「助けてくれ〜・・・何でもするから助けてくれ〜」
「何だって? こすってくれって? わかったわかった、こすり潰してやるぜ。」
福田はズボンのファスナーを下ろし、中からチンコを出した。
「や・・・やめてくれ・・・」
福田は親分がちょうどチンコの下敷きになるようにして覆いかぶさった。
「俺のチンコですり潰してやる。」
福田は思いっきりチンコを床にこすりつけた。

「ぎゃああああ・・・」 
「うへ〜・・・気持ちええー。 どうっすか?子分のチンコにすり潰される気分は。」
福田はこするのを止めて親分がどうなったかを見た。
「んっ! ぜんぜん潰れてねー。 しかもまだ生きてる。 すげー生命力。」
親分は生きてるとはいえ、全身の物凄い痛みで失神寸前だった。
「じゃあ次は何して遊ぼうか? お、や、ぶ、ん!」


そして石本達は・・・
「ねえ部長、いつになったら巨人が現れるんでしょうねー? 僕、腹減ってきちゃった。」
「我慢しろ。 今は動くわけにいかんだろ。」

グウウウ・・・

「はは・・部長も腹減ってるんですね。」
「ま、まあな。 松永を行かせたのは、俺がうっかり口に入れてしまいそうだったからでもあるんだ。
あいつには言うなよ。」 

第四十五話

「そうだ、親分。お腹すいているでしょう。何か作ってあげましょうか……。」
 福田はそう言うと、戸棚からラーメンの入った袋を取り出した。
(やばい……)
 気を失いそうになりながらも親分はただならぬ殺気を感じた。この状況で普通に
食事をさせてくれるとは思えない。親分の頭上遥か上では、福田がコンロの火をつけ、
ラーメンを作っていた。
(まさか……一緒に入れられて食べられるとか……それとも熱い汁の中に
ほうりこまれるとか……)
 親分の頭の中に次々と恐ろしい考えが浮かぶ。なんとかここから逃げなければ
何をされるか解らない。そのとき、突然親分の前にモンスターが突進してきた。
「ぎゃあああっ!!」
 そのモンスターは、親分の横を何事もなかったように通りすぎていった。親分は
遠くに走り去ったモンスターの姿を見て、その正体がわかった。
「げ、ゴキブリじゃねえか……。でも待て。これでは外に出たほうがもっと
 危険じゃ……。」
 親分が上を見上げると、福田は何事もなかったようにラーメンを作っている。
更に回りを見まわすと先ほど開けた金庫の中に何本かのビンが……。
(きっとあの中には小さくする薬だけでなく、元に戻る薬もあるはず……)
 親分はなんとか立ち上がり、金庫のほうに向かってよろめきながら歩き始めた。
そのときである。親分は凄い衝撃を感じた直後、上に持ち上げられた。そして
親分の前には巨大な福田の顔。

「親分、ラーメンが出来ましたよ。」 

第四十六話

福田は、親分を摘んだ指をラーメンに近付けた。
「ほーら、うまそうでしょ。」
親分はそのままラーメンに乗ってるチャーシューの上におろされた。
バランスをくずすと熱いスープに浸かってしまう。
「あちっ! あっちー!! たっ、助けてくれー。」
福田は気にせず割り箸を割っている。
「んじゃ、俺も腹減ってるからいっしょにいただきま〜す。」
福田は親分が乗ってるチャーシューを箸で沈めた。
「ぎゃあああ!!あちいいい!!」
「こびとが具のラーメンってのも、なかなかうまそうだな。」
福田は熱いスープで溺れている親分を見て楽しみながらラーメンを食べつくした。
親分はどんぶりの底でぐったりしている。
「ふ〜、ものたりねーけどしかたないか。」
福田は寝転がってうとうと寝はじめた。
「何とかして、金庫の薬を・・・」
親分は今にも倒れそうな体で割り箸をつたってどんぶりから脱出した。
そして金庫のほうによろよろと歩き出した。
「もう・・すぐだ・・」
親分はやっとのことで金庫にたどり着いた。
「元に戻る薬・・・あった、これだ!」
そのとき突然親分の周りが巨大な影に覆われた。

「親分、まだ元に戻ろうなんて考えてんですか?
そうか、元に戻る薬があるから未練が残るんだな。俺がきっちりあきらめられるように
全部処分してやる。」
福田はそう言うと、金庫から元に戻る薬を全部取り出し
一気に飲んでしまった。
「親分、これでもう元に戻る方法はなくなりましたよ。親分は僕の・・・」

パアンッ!!

福田の服が勢いよくはじけた。 

第四十七話

「はあはあ……。」
 その頃、ようやく松永は息を切らせながら相撲部員たちが集まっているはずの
宝田教授のところへとたどり着いた。彼を出迎えたのは加嶋だった。
「よっ松永、戻ってきたか。みんなで材料を集めたおかげで薬は完成したぞ。
 部長と石本は?」
 松永は、
「そんな事より大変……。」

-ズドドドーン-

 地響きと共に突然ものすごい音が響く。
「おい何だ?地震か?そうか。部長たち戻ってきたんだ……って、えーっΣ(゚Д゚;
 あいつ誰だよ。」
 加嶋を指差すほうを松永が見ると、彼らが見た事も無い巨人が出現していた。
もちろん……。


「あ、なんだどうなった?親分は?って言うかここどこだ?」
 福田は突然辺りの様子が一変し、状況がつかめないでいた。
「なんか寒いな……あれ?服が無くなっている。」
 そのとき、福田の耳にどこからともなく叫び声のような物が聞こえて来た。
すると自分の背丈の半分くらいの箱のような物の上に二人のこびとが自分のほうを見
て叫んでいる。
「な〜んだ親分、そんなところにいたんですか。あれ?もう一人……。」

 時間を少し戻そう。福田が巨大化する直前、カップルが一組誰も見ていないだろうと
この付近で一番高いビルの屋上で誰にも邪魔されないように二人だけのときを
すごそうとやってきていた。だが思いも寄らない邪魔、まさかそれが巨大化した
福田だったとは。巨人を間近で見た2人、彼女は失神、彼氏は腰を抜かして
動けなくなった。彼氏を親分だと思った福田か彼氏を摘み上げてもう一方の手のひらに
乗せた。
「親分、いつの間に仲間を作ったんですか?……ってお前誰だ?」
「わーったすけてください、たべないでーっっ」
 巨大福田の手の中のこびとは泣き叫んだ。そのときである、
「そこまでだ!!!」
 福田が声のしたほうに振り向くと振り向くと、三人の男、そう、部長と石本と
飯田だった。 

第四十八話

石本が福田を見て部長に言った。
「ぶ、部長。あいつすごいでかいですよ。 しかも誰かわからないし・・」
「UFOも言ってただろ。俺達よりでかいやつが出るって。 俺達3人で力を合わせないと勝てないってことだろ。」
福田の体は、薬を多めに飲んだためか石本達の約2倍の大きさだった。
福田は3人を見下ろして言った。
「あー、知ってるぞ。お前らそこの高校の相撲部だな。変な薬を金庫に隠してただろ!」
すると部長は、
「そういうことか、お前金庫を盗んだ犯人だな? 元に戻してやるからおとなしくしてろ。」

巨人達の足下では避難しようと、こびと達が建物からあふれだした。
福田はそれを見て興奮して言った。
「すげぇ、俺すげぇでけぇ。 今の俺なら世界征服ぐらい簡単にできそうだぜ。」
福田は自分の巨大な力を確かめたくて、近くのビルを蹴り崩した。

ズガアアアン・・・

部長が言った。
「やめろっ!! 俺達はお前を止めるよう頼まれてるんだ。 これ以上暴れるなら力ずくで押え込むぞ。」
福田と部長達の大きさは大人と子供みたいなもの。
部長がいくらきつく言っても福田はなめきっていた。
「そうだ、お前ら俺の子分にならないか?」
そう言ったあと、福田は近くにあった背の低い建物の上に足を乗せた。
「これ、お前らが住んでる寮だよなー? 子分にならずに俺の邪魔するなら
ペシャッとやっちゃうけど、どうする?」
「部長、寮が踏みつぶされちゃうよー。」
「くっ、くそ・・仕方ない、今は言う通りにしよう。」
福田は足をもどして言った。
「俺の子分になるんだな? ならほんとに子分になる気があるのかどうか証明してもらう。
足下でちょろちょろしてるチビどもに、巨人の恐ろしさを思い知らせてやれ。」

「部長・・・どうしよう・・・」 

第四十九話

「とりあえず今は避難したほうがいいみたいだな。みんな、薬を持ってこれに
 乗りなさい。」
 宝田教授の声に松永と加嶋が振りかえると、いつのまにかバスが1台用意
されていた。
(こんなバス、どこに有ったんだろう。それになんであの薬の作り方を宇宙人に
教えてもらったんだ?宝田教授には不思議な事ばかりだ)
 松永が考えていると加嶋が、
「おい何やってるんだ、お前も早く乗らないと薬どころか俺たちも巻き込まれるぞ。」


「部長・・・どうしよう・・・」 
 石本に続き飯田も部長に……。
「なんで飯田先輩まで、そんなこと……?」
「お前ら、ふざけてないで子分になる気有るのか、無いのか?」
 上から福田が部長たち三人を見下ろしながらにらみつけている。
「あ、わかりました……。」
「はい。」
「かしこまりました。」
「わかればいい。丁度いい、あの目障りな連中をやっつけて来い。」
 福田が指差すほうを三人が見ると、部長のたちの目には空を埋め尽くさんばかりの
戦闘機、ヘリコプターや、爆撃機の大群が目に入った。更に遠くからは無数の
戦車や装甲車、海からは多数の艦船がやってきていた。部長は、
「一体どこにこれだけの軍事力が……。」
 石本は、
「俺たち、全人類を敵に回したんじゃ……。」
「ごちゃごちゃ言わないでいってこーい。」
 福田は飯田を思いっきり空高く投げ飛ばした。

-ズガガーン-

 投げ飛ばされた飯田をよけきれなかった戦闘ヘリの一団が大爆発を起こし、
次々と墜落した。

-ズドーン、ドカーン-

 その中の一機が石油貯蔵施設内に墜落した。

-ドドーン、ドカーン、ババババーン-

 タンクは連鎖的に次々と爆発し、それは近くにいた戦車隊にまで及んだ。
巨大な爆発は、戦車や装甲車を巻き込み、次々と爆発は広がる。爆発の中から
飛びだした砲弾は、爆撃機に命中した。爆撃機は、他の爆撃機を巻き込みながら、
爆弾をばら撒き、次々と墜落した。その爆弾は街に、艦船に雨のように降り注いだ。
見渡す限り火の海と化した町を見た福田は、
「うわっはっはっはっ、いいぞ〜全てを破壊しロー、俺様は、これからこの星の
 支配者だ〜。」
 なきそうになりながら石本は、
「大変な事になっちゃった。寮を守るどころか、俺たちの町が……。」


 その頃である。某所では、
「多国籍軍、全滅だそうです。」
「巨人は1人、2人か……。」
「いや、報告によると4人だそうです。」
「巨人たちはふえつづけているのか。このままでは最終兵器を……。」
「早まらないでください。第一危険過ぎます。」
「会議をしている余裕は無い。明らかに今は人類存亡の危機だ。巨人たちが更に
 増えないとも限らない。すぐにでも準備をはじめなければ。」
「わかりました。」 

第五十話

「痛ててて・・・あいつ体もでかいが力もすごいぞ。俺を軽々と投げやがった。」
投げられた飯田は汚れただけですんだが、飯田が倒れた場所はすごいことになっていた。
部長は、
「体がでかい分、俺達より何倍も力が上がってるってことか。
3人がかりでも勝つのはきついかもしれないな。」

一瞬で崩壊した街を見て喜んでいた福田が、今度は石本を指差して言った。
「次はお前、足下で逃げ回ってるこびとどもを踏みつぶせ!」
「えっ、え〜。」
戸惑っていた石本だったが足下の小さな人たちを見ている内に顔つきが変わった。
「アリ・・・」
石本は、行列をつくって逃げている人々がアリの行列に見えてきたのだった。
「アリは一匹残らず踏み潰してやる!」
石本は足を人々の真上に上げた。
「おっ、おい。石本マジでやるのか? 小さくても人間なんだぞ。」
部長はそう言ったが、石本は
「だめなんですよ部長。僕、足下でちょろちょろ動き回る生き物見ると
踏み潰さないと気がすまないんですよ。足おろしていいですか?部長。」 

第五十一話

「駄目だ〜。」
 飯田が言う。
「そうだ石本、やめるんだ。」
 部長が石本を右後から止めようとする。飯田も石本の左後ろから止めに入る。
石本は部長と飯田の2人に両側から引っ張られるように動きを押さえられる。
しかし石本は、
「お願いです。もうがまんできません。一回だけでいいから。」
「駄目だ。これ以上被害を増やすな。」
 部長が言う。が、石本は思いっきり反動をつけ、足を振り降ろそうとした。
「ああっ」
 飯田がバランスを崩しかけ、倒れそうになったが、なんとか持ちこたえた
「馬鹿やろう。何3人でふざけてる。さっさとやれ!」
 福田が石本を蹴り倒した。

-ズドドドドォォォォォォン-

 飯田、石本、部長、3人の巨人は、その場に思いっきり倒れこんだ。そこからは
轟音と共にものすごい土煙が上がる。下敷きになった建物は跡形も無く粉砕された。
その場で立ちあがった部長は、
「なんてことだ……。」
「せっかく止めていたのに……。」
 飯田が言う。最後にゆっくり起きあがった石本が福田を見上げながら、
「ひどい……。」
「何を言うんだ。お前らがぐずぐずしているからこうなるんだ。」
「あんまりだ。こんな事するなんて許さない。」
 石本が言うと部長が、
「そうだ。こいつの言うとおりだ。大きくなったからと言って。暴れていいって
 もんじゃない。」
 しかし石本は、
「そうじゃないんだ。せっかく『ありんこ』を自分で踏み潰そうとしたのに、
 みんな駄目になっちゃったじゃないか〜。」
 部長と飯田があっけに取られている間に理不尽な理由で怒り狂った石本は1人で
福田に向かっていった。
「うぎゃぁぁぁっ!」
 次の瞬間、福田の叫び声が響いた。石本は下から福田のまたぐらに思いっきり
頭突きをしたのだった。 

第五十二話

「いってええええっ!! なんてことしやがるんだ! 子分になるってのは嘘だったんだな。」
おもいっきり急所を頭突かれた福田は、痛みに耐えきれず股間を押さえて走り回った。
その振動で建物が崩れ、更に街が大変なことに・・・。
「そうか・・・いくらでかくてもアソコが急所には違いないってことか。
飯田先輩、アソコを集中攻撃しましょう。これしか勝つ方法ないですよ。」
「ああ、わかった!」
部長と飯田は福田の方に走り出した。アソコを殴るために。
「うおりゃあああ!!」

ズドオオオオオオン・・・

「2回も同じ手が通用するわけねえだろ。バカどもが。」
部長と飯田は殴る寸前のところではじき飛ばされたのだった。
部長は遠くまで飛ばされ、1台のバスの横に倒れた。

「ふ〜、あぶなかった。 もう少しずれてたら下敷きになってるところだ。」
「部長・・・? この巨人、部長ですよ。」
そのバスは偶然にも、松永達が避難するために乗っていたものだった。
バスの中から松永達が出てきた。
そして宝田教授が部員達に言った。
「薬を部長に渡しなさい。まずあのでかい巨人をなんとかしないとどうにもならん。」
「はい。」
部長は薬を受け取った。
「これをあいつに飲ませればいいんだな。 なんとかやってみるよ。」
部長はそう言うと立ち上がった。
向こうの方からまだ興奮が冷めない石本が近づいてくる。
「アリ〜・・アリンコはどこだー? 僕が踏みつぶしてやるから出てこい。」
部長はバスの方に言った。
「早く逃げたほうがいいぞ。石本に見つかったら踏みつぶされるぞ。」


そのころ・・・
「隊長、最終兵器の準備が整ったそうです。」
「よし、わかった。これより最終兵器による巨人への攻撃作戦を実行する。」 

第五十三話

「ぶちょぉー、それなんですかぁー。」
 部長が振り向くと、すぐ後に石本の姿があった。
「薬は後だ。今は俺と逃げろ。」
 部長は薬を一旦返し、みんながバスに乗ったのを確認すると、両手でバスを持ち、
逃げ出した。
「部長、どうしてありんこ逃がすんですか〜、潰したほうがいいんでショー。」
 もはや小さいものを潰す事しか頭に無い石本が追ってきた。部長は中のみんなに
なるだけダメージを与えないようにするため、全速力で逃げる事は出来なかったが、
それでも石本に追いつかれる事無く逃げつづける事が出来た。金成を距離を逃げ
つづけたと思われたそのときで有る。二人の頭上を何か巨大な火の玉のような物が
通りすぎ、後のほうでものすごい音がした。

-ドォォォォン-

 部長は、
「な、何だ?」
 その音で我にかえった石本は、
「部長、ものすごい音がしましたけど。なんでしょう。」
 後を振りかえると遠くのほうで巨大な火柱が上がり、もう暗くなっていた空の
一部を赤くしていた。


 部長と石本は再び薬を受け取り、松永達をおき、街のあった場所へ戻ってきた。
が、そこには見渡す限りの巨大なクレーターがあるだけだった。部長は、
「一体、何が起こったんだ……。」
 そこへその場に残っていた飯田がやってきた。
「先輩も無事だったんですか。そうだ。例の巨人は……。」
「いや、気づいたときにはもうどこにもいなかった。」
 飯田は言った、石本は、
「きっことこの爆発で吹き飛んだんですよ。町は無くなっちゃったけど(;_;)」
 部長は、
「泣くな。人類は救われた。俺たちはこの薬でもとに戻ろう。」


「隊長、例の巨人が出現しました。一番大きな巨人です。最終兵器着弾点の南南西
 約100キロの都市です。」
「なんということだ、最終兵器をもってしても傷ひとつつけられないとは。我々には
 対抗手段は存在しないというのか……。」


「はっはっは、ちびのくせに俺様を倒そうなんざ一兆億万年早いんだ。役に立たない
 子分なんかいらねぇ。俺様1人で充分だ。みんな破壊してやルー。」
 滅茶苦茶な年月を叫びながら、都市を破壊し、福田は歩いていた。 

第五十四話

「やっぱり俺達がもとに戻るのは、おあずけみたいだな。 まずはあの泥棒にこの薬を使わないと。」
部長は二人に薬を飲ませる作戦を伝えて、福田のほうに向かった。
だんだん福田に近づいていると、石本があることに気付いた。
「ねえ部長、あいつさっきよりでかくなってない?」
「そういえば・・・・って、どういうことだ!!これは?」
そこにいた福田は、さっきより更に巨大化していて、
石本達の背丈は福田のひざあたりになっていた。
もう股間に攻撃することもできない。
福田は近づいてきた3人に気付いた。
「んー、お前らずいぶん小さくなったなー。」
福田は周りを見渡し、
「そうか、俺がでかくなったのか。 ここまでくるともう神だな。ははは・・」
石本は福田のでかさにビビって、
「もうこんなのどうしょうもないよー。薬飲ませるなんて無理だよー。」
「石本、あきらめるな! この薬さえ飲ませることができればなんとかなるんだ。」
部長もそう言ったもののどうしたらいいのかわからない。
すると、福田が石本を捕まえて抱き上げた。
「このサイズでプクプク太ってるとまるで赤ちゃんだな、お前はアリを踏みつぶしたいっていってたなー。
よーし、パパが捕まえてやろうなー。」
福田はそう言うと石本を抱いたまま数歩(といっても数キロ)歩いた場所に止まっていた電車を掴み上げた。
「ほーら、中にアリさんがいっぱい入ってまちゅよー。このおもちゃで遊びまちょーねー。」
部長と飯田はどうすることもできず、赤ちゃん扱いされている石本をただ見ていることしかできなかった。


松永達が乗っているバスが突然止まった。
松永が言った。
「あの巨人、さっきよりでかくなってる。こんなに離れてるのに見えるなんて。」
宝田教授は、
「軍が何か兵器を使ったんだ。たぶんそれに使われている科学物質に反応して巨大化したんだ。」
宝田教授はそう言うと部員達を車内に待たせて外に出ていった。
気になった松永は、
「俺もトイレ・・」
と言って、こっそり教授のあとをつけた。

「くそっ、余計なことしやがって。これじゃあ計画が・・・」
宝田教授はぶつぶつ言いながら携帯電話のような機械をさわっている。
ますますあやしいと思った松永は、少しずつ近づいた。
教授はその機械で誰かと話しはじめた。
「ああ、私だ。予定外のことになった、計画変更だ。」

カランッ

松永の足が空き缶にあたってしまった。
「誰だ!!」
教授はあわてて機械を隠した。
「何だ、松永君か・・・バスで待ってるよう言っただろ。」
松永が恐る恐る言った。
「教授、何か隠してますね。」 

第五十五話

「まさか。このバスで行く予定の避難先でちょっとトラブルが有ってね。
 もう大丈夫だ。」
 宝田教授は松永に言った。松永は、
「ほんとですか?」
「本当だとも、私の目を見てみろ。」
 言われた通り松永は宝田教授の目を見た。すると教授の目が突然緑色に光り、
気を失った松永はその場に倒れてしまった。


 その頃……。超巨大福田に抱き上げられ恐怖に怯(おび)える石本、もちろん
部長と飯田は、何も出来ないまま見ているしかない時間が続いていたのは
言うまでもない。
「どうちたんでちゅかー、ありさんきらいでちゅかぁー、どうしまちょーねー。
 そうだー、たかいたかーい。」
 福田はそう言って何度も激しく石本を持ち上げた。
「うわぁぁっ(T_T)」
 石本は恐怖で泣きそうになってる。
「あれー、たかいたかーい。きらいでちゅかー。そうだー、もっとして
 ほしいんでちゅかぁー。そぉーら、もっとたかいたかーい。」
 そう言って福田は思いっきり石本を空中高く放り投げた。
「ひえぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 放り投げられた石本は、空のかなたに消えてしまった。部長は、
「い、石本っ!」
「そんな馬鹿なっ!」
 飯田が言う。
「そうだ、きみたちもかたいたかいちまちょうかねぇー。」
 2人を、超巨大福田が見下ろしていた。2人は蛇ににらまれた蛙のように恐怖で
固まってしまった。そのときである。

-ひゅぅぅぅぅぅん-

 空のかなたに消えた石本が再び地上に戻ってきた。

-ズドドドドォォォン-

 3人が気がつくと、そこはクレーターの中だった。石本が落下した衝撃で
出来たらしい。飯田は、
「まったく、なんてやつだ。」
 石本は、
「やっぱり無理だよ。もうやめようよ。」
 部長は、
「薬はなんとか無事みたいだ。」
 飯田が、
「あんな状況でよく守れたな。そうだ、あの巨人は……。あ、あんなところに……。」 

第五十六話

「政府からの指示が出た。 最終兵器を巨人が倒れるまで撃ち続ける!」
「たっ、隊長。 そんなことすれば街が完全に・・・」
「あの地域の避難はほぼ完了したそうだ。 それにこれは命令だ。」
「わっ、わかりました。」


福田は空港を見つけ、そこに向かっていた。
「へ〜、これがジャンボジェット機ってやつか。 どこがジャンボなんだ?
俺様のチンコの方がよっぽどジャンボだろ。」
福田は、客が乗り込む直前のジェット機を見つけ、搭乗用通路から引き離して
投げ捨てた。
「ジェット機よりもっといいものに乗せてやろう。」
福田は中がむき出しになった通路に自分のチンコを突っ込んだ。

キャアアアアーー  ワアアアアアーーー

ジェット機に乗り込もうとしていた人たちの目の前に、超巨大な肉の塊が押し迫って来た。
空港の中はパニック状態。
「早く乗り込めー。ぐずぐずしてるとみんな潰すぞ。」
人々はその言葉にビビり、福田のチンコに入りだした。
「おー、気持ちいい〜。 いったい何人ぐらい入るんだろうなー?」


部長達はその姿を遠くから見ていた。
「このまま世界はあいつのものになっちゃうのかなー?」
部長が突然思いついた。
「あいつだって、寝ているときは無防備のはずだ。 眠ったあとこの薬を飲ませに行こう。」
すると飯田が、
「まだまだ寝そうにないぞ。 っていうより、これからが本番って感じに見えるぞ。」


そのころ松永は・・・
「う・・・」
松永が意識を取り戻した。
「機が付いたか、松永君。」
松永の前に巨大な宝田教授の顔があった。
「くそーー、また縮められた。 やっぱり何か隠してるんだな!!」
宝田教授は
「しーー、あまり喋らないほうがいいぞ。 今お前に使った薬は、自分の声に反応して更に縮んでしまう薬だ。
バスで待ってるみんなには君が強化合宿の続きをしたいと言い出したことにしよう。
助かりたければ、余計なことを喋らないことだ。」
宝田教授は松永を摘んでバスにもどった。 

第五十七話

「わっはっは、気持ちいいぞ、どんどん入れ〜。」
 こびとたちは脅されるままに超巨大な福田のチンコの先に入っていく。
その巨大なチンコは更に巨大化する。
「うわぁぁっ!」
「きゃぁぁっ!」
 こびとたちが熱くなる回りの肉の壁から押しつぶされそうになる。
「潰されるぞ〜。」
「助けてクレー。」
「おしかえせっ!」
「こりゃ言いや、ちびどもが俺のチンコの中で暴れてるぜー。」
 超巨大福田は絶頂に達した。

-ひゅうん、ひゅうん、ひゅうん-

 何も出来ないまま超巨大福田の様子を遠くから見ていた部長たちの頭上を
再び巨大な火の玉のような物が幾つも幾つも通りすぎた。それを見た飯田は、
「あ、あれは……。」
「どうした。」
 部長が言う。
「あれが通った後大爆発が起こって、あいつが更に巨大化した。」
 飯田が言った。
「そんなのが幾つも通ったてことは、あいつがもっと巨大化して地球も
 踏み潰しちゃうんじゃ……。」
 石本が言ったそのとき、

-ずどぉぉぉん-

 こびと達の悲鳴とともに大砲のような超巨大福田のチンコから大量の精液が
発射されたのだった。それは福田に向けて発射された最終兵器に命中、見事に
打ち返してしまったのだった。

-どかーん、ひゅうん、どかーん、ひゅうん-

「今度は何だ。」
 部長が言う。石本は、
「もうおしまいだ。これ以上あいつがでかくなったらどうしようもないよ〜(T_T)」
 飯田は、
「先ほどの爆発とは違うようだ。」

 そう言う3人の頭上を再び火の玉が引き返していった。


「隊長大変です。最終兵器が戻ってきます。ここに命中すれば残りの最終兵器にも……。」
「全員避難しろ。」

-ズガガガガガァァァン- 

第五十八話

松永を小さくした宝田教授は、再びバスにもどった。
「あっ教授、松永がトイレに行くっていってまだもどってないんですよ。」
「松永君ならここにいるよ。」
宝田教授は松永を手に乗せてみんなに見せた。
「強化合宿の途中だから自分を縮めてくれって言ってきてね、ちょうどバスも窮屈だったから
OKしたんだが。
みんなで彼をなくさないよう見ててやってくれないか?」
「はいっ! にしても、こんなときでも規則を守ろうとするなんてまじめなやつだなー。」
教授から松永を受け取った部員達はすごくうれしそうだった。
「それじゃ、出発するぞ。」
バスが走り出した。
松永は心の中で迷っていた。
(みんなに教授があやしいことを伝えないと・・・でも喋れば更に縮んでしまう
どうすればいいんだ?)
しかし松永を見つめる部員達の心は・・・
(昨日の風呂のこと思い出すなー、すげー気持ちよかったなー、やべっ、こいつ見てたらチンコたってきちゃった。) 

第五十九話

 一方、どうする事も出来ず超巨大福田の様子を見ていた部長たち。部長は、
「まさかさっきの攻撃を打ち返すとは、おかげでやつの巨大化も防げた
 みたいだしな。」

 福田は、
「はっはっは。いっぱつやったらなんか眠くなってきたな。ちょっと横になるか。」

-どどーん-

 あれだけの巨体である。寝転ぶだけでもかなりの振動が。
「よし、起こさないように気をつけて、ゆっくり近づくんだ。」
 部長の指示で飯田と石本は注意深く寝ている福田に近づいていく。
そのときである、

-ズズズズ、ドドドドドーン-

「なんだ、地震か?」
 飯田が言う。部長が、
「ちょっと待て、様子がおかしい。」
「ま、まさか、なんでー。」
 石本が言った。眠りについた福田は、更に巨大化をはじめたのだ。部長は、
「逃げろ、潰されるぞ。」

-バリバリバリ、ズズズズズ、ドドドドドーン-

 あらゆる物を押しつぶしながら福田は巨大化を続ける。そして巨大化が終ると
空港は完全に彼の体の下に隠れてしまっていた。それを見た石本は、
「どうしよう。こんなに大きくなって、薬は効くかなぁ……。」
 飯田は、
「この大きさだと、口のところまでよじ登らないと行けないな。」
 部長は、
「とにかく、やつが目を覚まさないうちにやるんだ。」 

第六十話

部長達は福田の体を登りはじめた。
「僕達も巨人なのに、変な気分。」
石本は昨日の松永が自分の体を登っていたことを思い出していた。
部長が言った。
「今のこいつから見たら、俺達もこびとと同じだ。
今度見つかったら赤ちゃん扱いじゃすまないぞ。」
3人は福田の胸の上にたどり着いた。
「よし、口の方に行こう。」
石本は口に近づくにつれ、心配になってきた。
「部長、ほんとにこの薬効くでしょうか? 今のこいつから見たら1滴分もないですよ。
たったこれだけの量で元にもどるなんて思えないよ。」
すると部長が、
「俺も気になっているが、今はこの薬に賭けるしかないんだ。とりあえずできることをやろう。」
先に口に着いた飯田が言った。
「ダメだ、口閉じてやがる。」
部長と石本もおいついた。
「無理にこじ開けて起こしたら大変だ。少し様子を見よう。」
3人は福田が起きないように、静かに唇を見ていた。
部長が、
「くそ、なかなか開かないな。・・・んっ、どうした石本?」
石本は何かを見たままおびえていた。
「ぶ・・部長、言いにくいんですけど、目が開いててずっとこっちを見てるんですよ。」
部長と飯田は恐る恐る福田の目の方をみた。
石本の言ったとおり、福田の目が自分達の様子を見ていた。
「ヤバい!いったん逃げろ!!」
3人はあわてて福田の腹の方に逃げた。
福田がゆっくりと体をおこした。
「何かと思えばお前達だったのか。小さいからわからなかったぞ。」
福田は眠そうに言った。
「俺もずいぶんでかくなったなー。 普通の人間が点にしか見えねー。明日が楽しみだな。」
福田はそう言ったあと、巨大なあくびをして再び寝はじめた。
「あぶなかったー。もうダメかと思った。」 
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