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20804号室へ
続き
第二十一話

「……とりあえず、へそのゴマの掃除でも、してもらおっかなー。」
 松永を見下ろしながら石本は言葉を続けた。松永は、
「馬鹿やロー、そんな事できるかよー。」
「フーン、そんなこと言っていいのかな〜。」
「元に戻ったら……わっ!!」
 石本は松永の言葉を聞き終わらないうちに、松永を摘み上げた。松永は、
「コラっ、人の話しは最……わっ!!」
 石本は松永をつまむ力を強くした。ものすごい圧力が松永を襲う。松永は
全ての力を使い必死で抵抗しようとするが、石本の指の力に対抗できる力など
出せるはずもなく石本のなすがままなのは当然のことなのだ。石本は自分の
口元につまんだ松永を持ってきた。
「何言ってルノー。状況を考えて話そうね。ま・つ・な・が・くん。」
 反論しようにも、松永は声すら出せない状況に加え、大音量の石本の声が頭の中に
響きまくっていた。石本はつまんだ松永を自分のお腹のへその有る所へと運び、
もう一方の手で自分のお腹の肉を押し広げる。
(げ、こんな中に入れられるのか……)
 松永は巨人石本のお腹の肉の谷間にある不気味な穴を見つめながら思った。
そして次の瞬間だった。松永はその穴へと放り込まれた。
「うわあっ!」
 松永が石本のへそに放り込まれたその直後、押し広げられていた手も放され、
松永は石本のへそに閉じ込められてしまった。 

第二十二話

「くそ・・・でもこれぐらいならなんとか動けるぞ。」
松永は腹の肉をかき分けて少しずつ外を目指した。
そしてついにへその肉から脱出できた・・と思ったが
「ん?何だ?」
出口が何かでふさがれていた。
石本が自分のへそに、大きめのバンドエイドを貼っていたのだ。
「おいっ!石本。 ここから出せ。 聞いてんのか?」
「松永君、罰として今日はそこで寝てねー。
僕ももう寝るから、じゃおやすみ〜。」
「お、おいっ!」
石本は再び寝はじめた。
「冗談じゃない。こんな、いつ腹の肉に押しつぶされるかわからねえとこで
寝られるか。 でも今回は完全にふさがれちまってる。どうしたらいいんだ?」 

第二十三話

「おいこらー、石本〜、うわあっ!」
 松永がそう言った直後、超高速エレベーターで下がるというか、ジェット
コースターで落下するような衝撃が彼を襲った。石本が寝たようだ。
「おい起きろ!」
 松永は目の前の肉壁を必死で何度も殴りつけた。が、そんな事で効果がある訳が
無い。その衝撃は全て柔らかい肉の壁が全て吸収してしまう。
「……待てよ……もしかしたら……。」
 松永は今度は肉の壁に噛み付いた。が、
「やっぱり駄目か……。チンコの先に噛み付いたときのようには……うわあっ!」
 松永を再び衝撃が襲った。
「やったのか?」
 いや、単に石本は寝返りをうっただけだった。
「うわああっ!!」
 両側の肉の壁が松永に迫ってきた。
「やバイ!このままでは潰される!」
 松永は再び目の前の肉壁を必死で何度も殴りつけた。もちろんそんな事で効果が
ある訳が無く、肉の壁は松永を押しつぶそうと迫ってくる。最初は柔らかく松永を
包み込むが、徐々に重みが掛かり始める。
「石本!やめーロー、起きロー!!」
 肉の壁にはさまれた松永は、なんとかそこから脱出しようとするが、肉の壁に
挟み付けられ、動く事ができない。松永は思った。
(苦しい……もしかしてこのまま俺は死んでしまうのか……)
 いくらなんでもへそに閉じ込められて死んでしまうなんて情けなすぎる。松永は
自分の無力さに、段々考えが後向きになってしまうのだった。が、そのとき、
松永の体は激しく動かされた。石本が再び寝返りをうったのだ。同時に肉の壁からは
開放された物の、その衝撃で松永の体は「肉の監獄」の中の小さな部屋の中で
投げつけたゴムボールのように禿げしくではなく激しくはねまわった。こうして
一晩中、石本が寝返りを打つたび、松永は大変な目に遭い続け、一睡も出来なかった
のは言うまでもない事実だったりするのだから困った物である。こうして一日目の
夜は終った……。

 2日目の朝、松永の体は激しく持ち上げられた。石本が起きたらしい。
「石本、朝になったのか。出してくれ。」
 松永の体に、激しい振動が伝わる。石本は起きて歩き始めたようだ。
「くそ、もしかして石本の奴、俺の事忘れてるんじゃ……。」
 朝起きた石本は、自分のへその中に松永を閉じ込めたまま、有る場所へ向
かっていた。 

第二十四話

「石本のやつ、いったいどこへ・・・?
そういやこいつ、柄にもなく朝起きたらシャワーで目を覚ましてるとか
聞いたことあるような・・・ってことは風呂に向かってるのか。」
石本は寝ぼけた顔で、風呂に入っていった。
さすがにこの時間に風呂を使うのは石本ぐらいなので
中にはだれもいない。
「シャワー浴びて目が覚めたら俺のこと気付くだろう。
それまで我慢するか・・・」

ジャーーー・・・

石本はシャワーを浴びはじめた。
「んっ? 水・・水が中に入ってきてるじゃねえか!」
シャワーの水が石本の腹をつたって、バンドエイドの隙間に入り込み
松永のいるへその中に溜まってきたのだ。
「このままじゃ、溺れてしまう。 おーい、いしもとーーー!!」
松永の小さな声がシャワーの音に勝てるわけがなかった。
「ゴボボボ・・・・(もう・・だめだ・・・)」
そう思いかけたとき、ようやく石本が松永のことを思い出した。
「あっ、そういえば松永君へその中だっけ。」
石本はへそのバンドエイドを剥がし、中にいた松永を掌に乗せた。
「ごほっ、ごほっ・・・はぁ・・はぁ・・・」
松永はギリギリのところで助かった。
へその中で起きたことなんてまったく知らない石本は、冷たく言った。
「松永君、少しは反省した?」
その言葉に切れた松永は、即言い返した。
「反省した?だとー。反省するのはお前だろ!
俺は何回死にかけたと思ってんだ!! 元に戻ったらマジでぶっ殺すからな!」
石本は無気味な笑みをうかべて、松永が乗ってる掌を裏返した。
「う、うわああーー・・・」
松永にとっては高層ビルから落とされたようなもの。
薬で体が頑丈になっているため怪我はなかったが、ものすごい痛みに襲われた。
「くっ・・・痛てぇ・・・」

ズシィィーンッ!!

松永のすぐ横を、石本の巨大な足が踏みおろされた。
松永にとってはいん石が落ちたような衝撃だった。
松永は落とされた痛みと石本の迫力に押され、体が震え出した。
石本はかがんで震えている松永に顔を近付けて言った。
「今の松永君は僕のおもちゃなんだから、自覚してくれないと。
もう反抗しちゃだめだよ。 言ってる意味わかったら、僕のチンコ舐めて。」
そう言うと石本は床にペタンと座り込み、松永の方にチンコを突き出した。 

第二十五話

「うわぁぁっ!」
 巨大肉棒が、松永を押しつぶさんばかりに迫ってくる。

-ぐにゃあっ-

 と、いうか松永は石本のチンコの先に押さえつけられてしまった。
「頼むう、石本〜どけてクレー。」
 松永はプライドも何も全て捨て、泣き叫びながら石本に頼む。
「だめだよ。言うとおりにしなきゃ。」
 巨大肉棒の下で、松永はその重さに耐えていた。そのとき、

-にゅるん-

 またもや松永は尿道に入り込んでしまった。石本は、
「そうだ。命令変更。そのままどんどん奥へ進んでいって。こっちのほうが気持ち
 いいかもね。もし、そこから逃げようとしたら、許さないからね。」
 松永は仕方なく石本のチンコの中をどんどん進んでいった。
「松永くん、がんばってルー?」
 その行動は石本に心地よい刺激を与え、彼のチンコは勃起する。その影響で
松永は回りから押さえつけられる形になり、動けなくなる。
「松永くん、どうしたの?もう動けなくなっちゃったの?」
 いくら石本の指示でも松永はどうしようもない状態だった。動きたくても
どうしようもない事は何度も経験済みだ。が、今はそれ以上に石本が怖くなっていた。
必死で体をよじり、なんとか先に進もうとは思う物の自分の非力な状態は変わる
訳ではない。
「もう、しょうがないなぁ。」
 石本は自分でチンコをこすりだした。松永は自分にとってはものすごいスピードで
揺さぶられ、なおかつ何度も強い力で押さえ付けられる。

-どっぴゅーん-

「今日はいつになく良く飛んだナー。あれ?松永くんは?」
 松永は精液と一緒に少しだけあいていた窓から外へ飛び出してしまったのだ。 

第二十六話

石本は風呂場の中を必死でさがしたが、松永はいなかった。
「・・・まあいいか、そのうち出てくるだろうし。」
石本は無責任な独り言をいって、風呂から出ていった。

「おっ、おはよう石本。 どうだ松永は?」
部屋に帰る途中で部長に会った。
石本は松永のことを言い出しにくくて、もじもじしていたが
「えっと・・・あの、松永君あそんでたらどっか行っちゃいました。へへ・・」
「なっ、なんだとー!!」


そのころ松永は石本の精液とともに風呂の外にいた。
そこは寮の物干し場だった。
「痛てぇ・・・ここはどこだ?」
普段なら見なれている風景だが、今の松永には巨大な草でできたジャングルに見えた。
「とにかく部員の誰かに見つけてもらわないと、元に戻れない。」
松永は寮の中にもどるため、動きだそうとしたが
石本の大量の精液がまとわりついて思うように動けない。
「だめだ・・・ここで終わりか?」
そう思ったときだった。

ズシッ、ズシッ、ズシッ

松永の前に人影が近づいてきた。 

第二十七話

 松永は遥か上を見上げた。
「あれは、植田先生……。」
 相撲部顧問の、植田先生は松永のところへどんどん近づいてきていた。だが、
自分の目の前に、部員の松永が一センチ程度になって、目の前の草むらにいると
は夢にも思わない。
「このままでは、踏み潰される……。おーい、おーい。」
 松永は、できる限りの大声をだし、自分の存在を知らせようとした。が、

-ぐちゃっ-

 もちろん、植田先生は松永に気づくはずもなく、踏み潰してしまった。
「わーっっっ」
 踏み潰されるだけならまだしも、松永は精液と共に、植田先生の靴の裏に
くっついてしまった。松永は、いつか見た外国のアニメで、靴の裏に踏み潰された
ガムにくっついてしまったアリの事を思いだした。自分がまさに、その状態である。
松永は何度も上下に激しく揺り動かされた上、何度も地上にたたきつけられる
のだった。

「おい、こっちに来い、お前も強化合宿だ〜。」
 泣きそうになっている石本を、部長は無理矢理部室のほうへ引っ張っていく。
「ごめんなさ〜い。松永はちゃんと探しますから、勘弁してください(T_T)」
「駄目だ。探すならお前も同サイズになれ。」
 二人が部室の見える所まで来ると、部室の回りに人が集まっていた。まだ
遠くなのでよくわからないが、良く見ると、警官らしき人もいる。
「なんでしょうね。部長……。」
 石本が聞く。
「俺が見てくる。逃げたら強化合宿、一週間だぞ。」
「吉沢くん(部長の名前)、石本君、君たちも来てたのか。」
 二人の前に、顧問の植田先生が現れた。部長は、
「何があったんでしょうか。」
「どうも部室に空き巣にやられたようだ。薬の入った金庫が盗まれたらしい。
 お金が入ってると思ったんだろうがな。」
 石本は、
「良かった。強化合宿はなくなった。」
「馬鹿やろう。松永は元に戻れないんだぞ。しかも……。」
 石本は部長と目を合わせることが出来ず。下を見ていた。すると、彼は植田先生の
靴の下からはいだす松永を見つけた。
「部長。松永くん見つけました〜。」

 植田先生、部長、石本は校内の誰もいない空き教室で三人で話していた。
植田先生は、
「つまり、あの薬は相撲部OBの宝田教授が開発した薬で、特別に分けてもらって
 いた。先ほど教授には連絡はしておいたんだが、私は都合でいけないから、
 誰か代わりに取りに行ってきて欲しい。」
 部長は、
「そうだ石本、強化合宿は勘弁してやるから。お前が取りに行って来い。それから、
 携帯で一時間ごとに連絡する事。いいな。これが地図だ。」

「それじゃ、いって来マース。」
 石本は松永を胸ポケットにいれ、宝田教授のところへ出発した。 

第二十八話

「それじゃ私も仕事があるから、あとはたのんだぞ。吉沢。
それからわかってると思うが、あの薬のことは警察にも言うんじゃないぞ。」
「はい、わかりました。」
植田先生は教室から出ていった。

そして石本と松永は・・・
「こんなことになったのは松永君のせいだからねっ!」
石本は胸ポケットを覗きながら言った。
松永は石本恐怖症というか、巨大なものが恐くて
ただブルブルと震えていた。

石本は地図を頼りに歩き回り、携帯で部長に詳しく道を聞き
やっとのことで宝田教授の家にたどり着いた。
「ふー、やっと着いたよ松永君。」

ピンポ〜ン

ベルを鳴らすと中から宝田教授が出てきた。
「おー、相撲部の子だね。植田先生から話は聞いてるよ
さあ入って。」
石本は言われたとおり中に入った。
石本は客室でしばらく待たされ、宝田教授が薬ビンを数本持って部屋に入ってきた。
「これが植田先生にたのまれた薬だ、無事に持って帰ってくれよ。」
「は、はい!」
石本は薬ビンを袋に入れた。
「それにしてもやっかいな物を盗まれたなぁ・・・
まだ金を盗まれた方がましだったかもしれん。」
「そ、そうですね」
石本はずっと震えたままの松永が気になって、ポケットをちらちら見ていると
「どうかしたのか?」
と聞かれ、松永をテーブルの上においた。
「ほお、私も何度か実験しているが、ここまで薬が効いたやつははじめて見た。
ちょっと調べてみたいから、私にくれないか?」
その言葉に石本はあわてて松永をポケットに入れた。
松永を連れて帰らないと自分が強化合宿行きになってしまう。
「あの、僕、時間がないんで・・・」
石本は逃げるように宝田教授の家を出た。

「とりあえず薬はもらったし、松永君も無事だし、
安心したらお腹すいてきちゃった。」
石本は帰り道にあったコンビニに入った。
「歩きすぎて疲れちゃったし、ドリンク剤も買っちゃおっと。」
石本は朝食を買って、近くにあった公園のベンチに座った。

モグモグ・・ゴクゴク・・

食べ終わった石本は、最後にドリンク剤を一気のみした。
「うっ、おえ。 何だこれ、変な味。」
石本は飲み終えたビンを見て叫んだ。
「うわあああーー!! これ教授にもらった薬だ。
どうしよう、どうしよう、縮んじゃうよー。」
石本はもう一度ビンを見た。
「んっ? 元にもどる薬? ふー・・・よかったー、縮む薬じゃなかった。
でも、縮んでないのに元にもどる薬飲んだらどうなるんだろ?」


部長は騒ぎがおさまった部室で石本の帰りを待っていた。
「石本のやつ、ちゃんと薬もらえただろうか」

ズシン・・・ズシン・・・

「ん? 何だ?」

ズシィーン・・・ズシィーン・・・

「うわっ、地震か?」
部長は外の様子を見ようと窓に近づこうとしたときだった。
急に窓の外が暗くなり、肌色の壁にうめつくされた。
部長はあわてて部室から飛び出た。

「部長・・あの・・僕・・こんなになっちゃいました。」 

第二十九話

「お……お前、石本か!?」
 部長は顔を見ているだけで首が痛くなるような大巨人となっていた石本を
見ていった。石本はどうしていいかわからずに、
「え……えーっと。」
 石本の声が、遥か上からそこら中に響く。流石の部長も、予想だにしなかった
事態にびびっていたがそこは部長である。いくら巨大になっても見慣れた
石本なのだ。自分がすぐに襲われる事は無いと頭ではわかっていた。が、逆に
巨大な彼がちょっと行動を起こせば大変な事になるのではという不安が大きく
なってきた。とりあえず部長はとっさに頭に浮かんだ事を石本に言った。
「おい石本。松永はどうした?」
「あっそうだ。今つれてきます。」
 石本は自分が巨大になっても、松永を無事連れ帰らなければ、強化合宿という
事を思いだした。

-ずどーん、すどーん、どしん-

 巨大石本は、地響きをたてながら今来た方向へと引き返した。
「おいちょっと待てっ、わ〜っ!!」
 部長はすぐ後を追ったが、巨大石本の作ったあしあとのおかげで激しくひっくり
返ってしまった。
「おい石本!ちょっと待て!!」
 部長が再び起きあがるともう石本は遥か先。部長の声は届かなかった。


「何が起こったんだ?」
 松永が石本のシャツの胸ポケットからはいだすと、そこには石本の姿は無く以前は
シャツだったろう巨大な布切れがあった。松永があたりを見まわすと、空ビンが目に
入った。
「こ……これは元に戻る薬!?」
 松永は少しでも中身が残っていないかとビンの中に入りこんだ。
「あ、あった、これだけあったら戻れるかも。」
 ビンの奥のほうに、一滴程度の中身が残っていた。これだけでも松永にとっては
充分な量だった。
「うおぉぉっ、戻れる。戻れる。やった〜。俺は解放されたんだ〜。」
「松永く〜ん。」
 そのとき、石本の声がした。松永は声のしたほうを振り向いた。
「ソ……そんな……。」
 そこには自分を見下ろす巨大な石本の姿があった。 

第三十話

「えっ、俺もとにもどったんだよなぁ・・」
松永はまわりを見渡したが、たしかに元にもどっている。
困ってる松永に石本は言った。
「その元にもどる薬、間違って飲んだらこうなっちゃったんだ。」

しばらくして、部長がやっと石本にたどり着いた。
「松永、無事だったか。」
「はい、俺も元にもどることできました。」
松永は元に戻れたことを喜んでいたが、部長は
「なにかってに元にもどってんだ、合宿は三日間だぞ。まだ二日目じゃないか。」
そのとき、石本が自分の足下で話し合ってる二人を掴んで顔の前まで持ち上げた。
「二人ともこうして見ると、かわいいね。」
部長は石本に怒った。
「石本、俺達は薬で縮んだんじゃないんだぞ。無茶なことするな!
とりあえず、このまま部室までもどるんだ。」
「は〜い」
石本は来た道を引き返し、部室の方に向かった。

ズシーン バキバキッ グシャッ

石本は歩行の邪魔になる物を躊躇なく踏みつぶしていく。
「こらーっ!、石本ー、ちゃんと道を歩けー!!」
「でも部長、まっすぐ行った方が早いですよ。」
「そういう問題じゃないっ!」
石本は言われた通り道を歩くようにしたが、
足の幅が道幅と同じぐらいなので、何も潰さずに歩く方が無理だった。


部室の前では他の部員達が集まっていた。
「あの金庫が盗まれたらしいぞ。」
「金庫って薬の入ってたやつだろ?」
「ああ、それにしても部長はどこ行ったんだろ?」

ズシーン ズシーン

遠くから巨大石本が近づいてくる。
「わあああ、何だあれ!!」
「か、怪獣だあああっ!!」
部員達は腰をぬかしてしまい、逃げようにも動けなかった。
そうしてるうちに巨大石本が目の前まで来た。
「これって・・石本なのか・・・?」
石本は部長と松永を部員達の前におろして、急ぐように校舎の方に向かった。
「おい、石本どこ行くんだ? ここにいろ!」
「部長、おしっこしに行くだけですよ。 すぐもどりまーす。」
「あいつ、自分の状況ぜんぜんわかってないな。」

石本は校舎のトイレの小さな窓に無理矢理自分のチンコを突っ込んだ。
「我慢してたから大量に出そう」 

第三十一話

-どばばばぁぁっ-

 石本の巨大チンコの先から、大量の小便が一気に放出された。

-どかーん、ばりばり-

 巨大な水圧で、トイレの個室のドアや壁が一気に破壊され、押し流される。
鉄砲水となった石本の小便はトイレの入口のドアも破壊、廊下へ流れ出す。
それだけではとどまらず廊下の窓ガラスを次々と割りながら廊下を流れていく。

「あ〜、気持ちよかった。」
「何が気持ちよかっただー。どうするんだこれ〜。」
 石本の所へ走ってきた部長が言う。校舎の回りは、石本の小便とそれに
押し流された椅子や机など校舎内にあった物が散乱していた。石本は、
「どうしよう……。」
「やった事はしょうがない。今度から気をつけろ。」
 部長が言うと巨大石本は、
「そうじゃなくて今度は大きいほうが……。」
「え゛ーーーーーーーーーっっっっっ!!!」
 部長も、松永も、回りにいたみんなが絶叫した。小便だけで学校内だけといえ、
水害のような被害が出ているのだ。更に……。考えただけでも恐ろしい事態に
なることは明白だ。
「なんとかがまんしろ。」
 部長が言う。巨大石本は、
「何とかといわれても……。」
「山奥とか、海の沖の方とか、とにかく迷惑のなるだけかからなそうなところへ
 行ってやって来い。あっそうだ松永。」
「はい?」
 松永が言うと部長は、
「お前合宿中だったな。石本を用の足せそうなところへどこでも良いから案内して
 やれ。」
「なんでそうなるんですか〜(T_T)」
 すると松永の上から巨大石本の手が降りてきて、松永をつかんだ。
「松永く〜ん。頼むよ。」
 巨大石本は、松永をつかむと、その場から歩きだした。 

第三十二話

「まあ、小さくなってたころよりはましか。」
と松永が言うと、部長が
「気をつけろよ、今のお前は普通の体なんだ。力加減間違われたら
マジで潰されるぞ。」
「そ、そんな・・・」
石本は松永を肩に乗せた。
「じゃ、松永君いこうか。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。服ぐらい着させてくれよ。」
「僕だって裸なんだから我慢しなよ。」
「お前は仕方な・・・」
松永がそこまで言ったとき、石本と目が合った。
石本恐怖症が再発してしまった。
「何か言った?」
「何でもない・・・・です。」
石本はとりあえず歩き出した。
「じゃ、行ってきまーす!」

ズシーン ズシーン

石本の肩は広かったが、歩く振動で少しずつズレてくる。
「な、なあ石本。もうちょっと安全な場所に乗せてくれないか?
今の俺、落ちたら絶対死ぬから。」
「えー、肩以外乗せるとこないよー。 じゃあ、お尻の栓になってくれる?」
「・・・ここでいいです」

石本はそのままどんどん歩き、海にたどり着いた。
「松永君、部長が海の沖とか言ってたけど、ここの海でもいいかなぁ?」
「人がいないなら、別にどこでもいいんじゃないか?」
石本は海に入っていった。
「何か変だよ。なかなか深くならないよ。このまま外国まで歩いて行けそう。」
「お、おい。行くなら俺をおいて行けよ。」
「冗談に決まってるじゃん。」

石本達は近くに小さな島がいくつかある場所に来た。
「だいぶ沖に来たよ。このへんでいいよね?」 

第三十三話

「どっこいしょ。」
 巨大石本は、用を足すのに丁度良い形の岩を見つけ、そこにしゃがみこんだ。
石本は、
「恥ずかしいから、やってるとこ見ないでね。」
「誰か見るか〜。用を済ませたら帰るぞ〜。」
 そうは言ったものの、松永ははじめは石本の肩の上で目をつぶっていた。が……。

-ぷりっ……ばっしゃーん、ぷりっ……ばっしゃーん-

 匂いと共に巨大であろう排泄物が落下するたび、ものすごい音がした。その行為も
なんとか終了した。
「おーい、石本〜。そろそろ帰らないか。」
「そうだね。」
 巨大石本は、来たときと同じように松永を肩の上に乗せ、その場を後にした。

「段々暗くなってきたな。早く帰らないと。ホントにこっちで良いのか?」
 巨大石本の肩の上で松永が言う。
「多分そうだと思うけど……。」
 先ほどの場所を後にして、かなりの時間がたったようだ。しかし元の場所に戻る
どころか、回りは海ばかりで、陸地は見えなくなった。
「おいおい、こんなところ通ったか?」
 巨大石本の肩の上でまた松永が言う。海は段々深くなり、水は松永のいるところ
あたりまで来ている。
「大丈夫だって。」
 松永は石本に他にも言いたい事が有ったが、もしここで石本の機嫌を損ねるような
事をすれば、潰されるのはもちろん、海の中に置いてきぼりにされかねない。自分の
命のことを考えると、そんなにきつくは言えないのだった。巨大石本は、
「ほら大丈夫だって言っただろ。灯りが見えてきた。」
 確かに向こうの方に陸があるのだろう。町の灯りらしき光が見えている。


「まったくあいつら、どこまで行ったんだ。もう夕方だぞ。」
 そう言っている部長のところに加嶋がやってきた。
「部長大変です。こっちへ来てください。」
 加嶋は学校のすぐ近くの電気店の前に部長を引っ張ってきた。そこには何人かの人が
既に集まっていた。その見てのテレビで、ニュースを流していた。

「……市に出現した巨人に対し政府は対策本部を……。」
 回りの皆といっしょテレビを見ていた部長は、
「あ……石本の奴……。なんであんなとこに……。」 

第三十四話

「ほらね、ちゃんと陸にもどって来たでしょ。」
石本は、あと数歩で陸に上がれるところまでもどって来た。
「行きと景色が違わないか?」
「暗いからそう見えるんだよ。」
石本は構わず陸に上がろうとした。
そのとき。

「言葉が通じるなら、そこで止まりなさい! 陸に上がることは許可できません。
これ以上進入した場合は、攻撃します。」
いつの間にか石本の周りを数台のヘリが取り囲んでいた。
石本は陸に上がろうとした足をもどした。
「松永君、陸に上がると攻撃するって言ってるよ。どうする?
やっぱり裸で歩いてたのがまずかったかなぁ?」
「そういうことじゃないだろ。 石本がデカすぎるからこうなったんだ。」
「そんなのおかしいよ。 身長が高いだけで攻撃するなんて。
部長が待ってるから、僕行くよ。」
「あっ、待て石本!!」
松永は止めようとしたが、石本の足が陸を踏みしめた。

ズシン・・・

石本の前のヘリがメガホンで忠告する。
「言葉が通じないのか? 止まれと言ってるだろ。」
石本は、そのヘリの近くに顔を近付けて言った。
「通じてるよ、でも僕帰る途中だから。」
石本はヘリに向かって軽く息を吹きかけた。

ふう・・

「うわあああ。」
ヘリはバランスを崩して近くの砂浜に不時着した。
「攻撃開始!!」
よく見ると、石本の向かおうとしていた先に数十台の戦車が待機していた。

バババババーン!! ババババババーン!!

石本の太股や腹に弾が一斉に撃ちこまれた。
「おい、石本大丈夫か?」
松永は心配そうに石本の顔を見上げた。が
「えっ、何が? ちょっとチクチクしただけだよ。」
石本はほぼ無傷の状態だった。
「でも、ちっちゃいくせに僕に攻撃するなんて、ちょっとムカついたかも。」
石本はそう言うと、戦車の方に歩き出した。
「おっ、おい。 何する気だ石本。 何かあったら俺まで巻き添えくらうんだぞ。」
松永の言うことを無視して、石本がどんどん戦車に近づいて行く。 

第三十五話

 そのときである。松永は突然石本が小学生だった頃の話しを思いだした。

 石本が後で食べようと大事にしまっていたおやつのアメに、ありが集まっていた。
それに怒った石本は、そのアメを地面に叩き付け、片足でぐりぐりして粉々にした。
更にありを一匹ずつ指で潰していって、巣までたどり着くと回りを掘り返し、
殺虫剤のスプレーを空になるまでかけ続け、なおかつホースで水を流しつづけた
ところを親に見つかって散々怒られた。それに逆上した小学生石本は親ではなく
ありに怒りをぶつける事となり、貯金箱のお金で殺虫剤を買い、ありを見つけては
殺虫剤をかけてはとどめに潰して、更に次もらったときのこずかいで「ありの巣
コロリン」を買い、先ほどの行為に加え巣を見つけたら「ありの巣コロリン」を
セットしつづけた。その結果数年間石本の家の近所からありの姿が消えたという。

 やる、今の石本なら人類滅亡までは行かなくても日本を完全に壊滅させかねない。
松永は思ったが自分はもちろん、誰にも彼をとめる事はできないだろう。これは
もしかすると地球の支配者が人類から巨大石本になった瞬間に立ち会うために
自分は生まれてきたのではないかとさえ思えてきた。

-ずっしーん-

 松永がそう考えているうちに石本は地球を破壊するためにキックするように
思いっきり片足を地面に降ろす。大地は爆発し数台の戦車はその瞬間跡形も
無くきえ、大地にクレーターが出現した。もちろんそれだけで終るはずがない。
石本は再び同じように思いっきり足を地面に踏み降ろしながらゆっくり前進した。

-ずっどぉぉぉん、どっかぁぁん、ずばばばーん-

 戦車はもちろん、回りにあった建物は完全に崩壊し、完全に土と混ぜ合わされて
しまった。石本は、
「ちびのくせに逆らおうなんてするからこうなるんだ。こんな事で済むと思うな。
 徹底的にやっつけてやる。最後の一匹まで……。」 

第三十六話

部長と加嶋のいる電気店のテレビに石本の暴れている姿が映った。
「何か・・ヤバいですよ・・・これ。」
見ているうちにどんどん建物が破壊されていく。
「あのバカ、どこまで俺に世話やかせる気だ。」
部長はそう言うと加嶋を連れて電気店から離れた。
「石本は俺がなんとかするから、加嶋は植田先生達と元に戻す方法を考えてくれ。」
「部長、なんとかするっていったい何を?」
「いいから早く行け!!」
「は、はい。」
加嶋は校舎に植田先生を捜しに、部長は部室に入った。

「たしか石本がもらってきた薬の中に、もう1本元にもどる薬があったはずだ。」
部長は袋の中から1本の薬ビンを取り出すと一気に飲み干した。
そのとき、部室の中に部員達が入って来た。
「部長、石本のやつが!!」
「ああ、今から俺が石本を止めてくる。 お前ら潰されたくなかったら部室から出ろ。」
「え?どういうこと・・・」
「さっさと出ろ!!」
「はい。」
部長に言われた通り部員達が外に出たときだった。
部室小屋の屋根が大きく盛り上がり、巨大化した部長が現れた。
「ぶ、ぶ・・ぶちょー・・・」
「俺は石本のところに行ってくるから、お前らは加嶋と元に戻す方法を考えてくれ。」
部長はそう言うと地響きをたてて歩き出した。

「テレビ中継してたのはこのあたりだな。」
部長はテレビに映っていた場所までたどり着いた。
あたりは石本に破壊されて瓦礫の山と化していた。
「石本のやつ、どこ行ったんだ?」
部長が石本を捜そうと再び歩き出そうとしたとき
戦闘機が部長の方に飛んできた。
「俺はあいつを止めにきたんだ、俺達を攻撃しないでくれ。」
部長が戦闘機に向かって言った。
戦闘機は、その言葉が聞こえなかったかのように部長に攻撃をはじめた。

ダダダダダダ・・・!!

「痛てて・・俺も石本の仲間だと思ってんだな。 まあ仲間には違いないが。
おい。撃たないでくれ。俺はあいつを止めにきたんだ。」
それでも戦闘機は攻撃をやめようとはしない。
怒った部長はその戦闘機を巨大な手で掴んだ。
「俺は止めに来ただけだって言ってんだろ!!」

ベキッ!!

部長は掴んだ戦闘機を半分に割って、コックピット側を残して半分を捨てた。
割れ目からパイロットが震えながら部長を見上げている。
「石本が暴れたのはお前らのせいでもあるんだぞ。」
部長は半分の戦闘機を自分の股間の方へ持っていった。
「ちょっと頭をひやせ。」
部長は戦闘機のコックピット側を、コンドームのようにチンコに装着した。 

第三十七話

「『元に戻す方法』と、言われてもなぁ……。」
 部長が巨大化して巨大石本を連れ戻しに言った後、完全に破壊された部室の
前で残された部員たちは途方にくれていた。一方植田先生を探しに行った
加嶋は……。続くなどというのはあまりにも早過ぎる。加嶋はまだあちこちで
巨大石本の小便鉄砲水の被害の片付け作業を行っている校舎内の職員室へ向かった。
植田先生はそこにいた。
「加嶋君、いい所に来たね。今みんなの所へ行こうとしてたんだ。」
「大変な事になってしまいました。」
「その事でさっき宝田教授から連絡があったんだ。」


 一方、巨大石本の所へ向かった巨大部長は、
「俺の遺伝子の半分を、体全体で受けろ!!」
 そう言って巨大部長はそのままチンコをこすりだした。

-ばっしゅーん-

 コックピットの中は一瞬で精液に満たされた。が、更にその反動で半分の戦闘機は
巨大部長の手を離れ空高く飛び、戦闘機の大群に向かって対空砲のように向かって
いった。

-どっかーん-

 それは戦闘機の一機に命中した。

-どっかーん-、どっかーん、どっかーん-

 墜落した戦闘機は他の戦闘機に命中、更にその戦闘機は他の戦闘機へと次々に
命中し、丸で花火大会のように次々と空中で爆発が起こった。巨大部長は、
「や……やべぇ。とにかく石本を探さないと……。あっあそこか、おい石本!」
「だ、誰?えっ部長なんでここに?」
「お前なにやってるんだ。帰るぞ!」


 その頃学校では相撲部員たちにメモが渡されていた。部員たちを前に植田先生は、
「え〜、というわけで、先ほど宝田教授の連絡によると巨大化した人間を小さく
 するための薬の材料が大量に必要とのことで君たちに集めてもらいます。」
 部員の一人が、
「本当にこんな物で薬ができるんですか?」
「私も最初その材料を聞いて耳を疑ったがあの薬は偶然の産物なんだそうだ。
 とにかく急いで集めてくれ。」
 部員たちはメモに書かれた材料調達のために学校を出た。 

第三十八話

「部長も大きくなったんですね。」
「お前を連れて帰るために仕方なくこうなったんだ。学校にもどるぞ。
部員のみんなが元に戻す方法を考えてくれてるはずだ。」
部長にそう言われたあと、石本は少し考えこんでいた。
すると部長を呼ぶ小さな声が聞こえてきた。
「ぶちょー ぶちょー・・」
部長は石本の肩の上を見た。
「おー、松永か。 そういやお前もいたんだったな。」
「ひどいですよ部長、こっちは命がけだったんですよ。」
考え込んでいた石本は、何かを思いついたようにうなずくと
松永を部長にわたして言った。
「僕、もう元にもどらなくていいです。だから部長は松永君と帰って下さい。」
石本の予想外の言葉に部長と松永は驚いた。
「一生そのままで暮らすってことか?」
「はい」
石本の暴れている姿を目の前で見ていた松永は必死で言った。
「このままでいいわけないだろ! お前のせいで街がこんなになったんだぞ。
ものすごい大勢のひとに迷惑かけてんだぞ。 部長の言う通りにしろ。
部長も言ってやって下さいよ。」
すると部長の口からもとんでもない言葉が・・・
「石本・・・お前もか・・・」


学校では植田先生が詳しい話を聞くため、もう一度宝田教授と電話をしていた。
「それは本当ですか?」
「ああ、おそらくな。 あの優しそうな石本君が暴れている姿を見て確信したよ。
突然巨大な力を手に入れてしまって、自分の力に酔いしれて暴走してしまう。
そうなれば私達にはどうしようもない。」
「もうあまり時間がない、ということですか。」
「とにかく今は材料を早く集めてきてくれ。 こちらではすぐに作れるよう、準備をしておく。」
「わかりました」
植田先生は電話をおいた。 

第三十九話

「部長。どう言う事なんですか?」
 部長に聞き返したのは松永だった。部長は、
「この話しは一生誰にも言わないつもりだった。だがこうなった以上話すしかない。
 お前もあの先輩みたいに行方不明になって欲しくない。」
「何を言っても無駄です。」
 石本が言う。
「とにかく聞くんだ。だがここでは駄目だ。人の居ない沖へ来い。おい松永。
 しっかりつかまって居ろ。」
 部長は松永を自分の頭の上に乗せて髪の毛につかまらせ、無理矢理石本の手を引き
沖のほうへ歩きだした。実は巨人を倒すべく、たくさんの艦船が集結し行く手を
阻んでいたが巨大部長と巨大石本の起こした波で次々と転覆、爆発、沈没、そして
全滅したのだった。そんな事に気づく事なく部長は沖に着くと話し始めた。
「これは俺がまだ新入部員だった頃だ。強化合宿をする事になった飯田(仮名)先輩が、
 間違って元に戻る薬を飲んでしまい巨大化した。強化合宿をひどく嫌がっていた
 飯田先輩は俺を捕まえ、人質にして山のほうへ逃げ出した。もちろん飯田先輩の
 通った後のあらゆる物が破壊された。そうしているうちに飯田先輩は
『何が相撲部だ、何が強化合宿だ、俺は誰にも止められない。俺はこの星の
 支配者になってやる!!』そう言って山を越え向こうの街に到着しようと
 した頃に、突然空が明るくなった。空を見上げるとそこに巨大なUFOが現れた。
 俺はそれを見た直後気を失ったらしい。気がつくと俺は山の中で倒れていて
 飯田先輩の姿は無かった……。UFOも巨人も誰も信じるはずが無い。飯田先輩の
 破壊したものは地震という事になっている。」
「げ、そうだったのか……。」
 松永が言う。石本は、
「でもなんでUFOがそこで出て来るの?」
 部長は話しを続ける。
「この事を以前宝田教授に会ったときに話したんだ。笑われる事を承知で。しかし
 教授は笑わず信じられない事実を教えてくれた。実はあの薬は偶然できた事に
 なっているが、自分の前に突然現れた宇宙人に地球上の材料での作り方を
 教えられたのだそうだ。将来有望な交流相手になる地球を守るために。だが
 その薬で巨人になり暴れ始め地上のものを破壊すればもう誰にも止められ
 ないからな。」


「みんなよく集めてくれた。これで二人を元に戻せる。」
 その頃相撲部員たちは材料を持ちより、宝田教授の家の前に集まっていた。
そのとき太田が、
「おいあれUFOじゃねーか?部長が行った方へ飛んでいったみたいだけど。」
「まさか。見間違いだろ。」
 加嶋が言う。それを聞いた宝田教授は、
「もう時間が無い。急いでつくらないと……。」 


「でも強化合宿が地球のためになるのかなぁ。」
 石本が言うと部長は、
「多分、このまま地球の人口が増加すれば環境破壊は更に進み資源が不足し、
 戦争が起こるかもしれない。だが薬で一時的に人間が小さくなればそれも防げる
 だろう。俺たちの強化合宿は薬の安全性を実証するための物だと思う。」
 そのとき突然、空が明るくなった。部長は、
「来たな……。」
 そのとき三人にどこからともなく声が聞こえてきた。 

第四十話

「ユッ、UFO・・・ほんとに来た・・・」
3人が上を見上げると巨大なUFOが浮かんでいた。
「何か言ってますよ、部長。」
松永は、更にやっかいなことに巻き込まれる気がして逃げたい気持ちでいっぱいだったが
部長の頭の上じゃあどうすることもできない。
石本は不安そうな顔で言った。
「部長・・・僕も連れて行かれちゃうの?」
「心配するな、俺がなんとかしてやる。 そのために来たんだからな。」 
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